【J-OSLER攻略】忙しい人のためのJ-OSLER講座【症例登録する前に知っておきたい3つの最重要ポイント】

おちば

こんにちは!内科専攻医のおちばです!

内科専門医を目指すみなさんは、J-OSLERと呼ばれる制度を知っておられると思います。

でも、

「よくわからん・・・」

「時間がかかりそう・・・」

など、不安や不満は多いと思います。

僕も専攻医をスタートした時点では、わからないことだらけでした。

しかし、後回しにしてJ-OSLER留年なんてしようものなら、最悪の場合専門医になれないリスクがあります💦

そこで、僕個人が

「J-OSLERを始める前に知っておきたかった!」

と思う注意点や知っておくべきことをお伝えします。

おちば

なるべく効率よく、けれど無難に、J-OSLER乗り切っていきましょ!

★このシリーズでは、J-OSLERをする方に、僕が思う「最低限知っておいたほうが良さそうなこと」と、「それなりに無難に乗り越えるためのコツ」をお伝えします!

★そのため、「完成度の高いレポートづくり」を目指している先生には参考にならないと思いますので、あしからず!笑

今回は、前回の準備編の続き、「症例登録 基礎編」です!

  • 症例登録の具体的な進め方
  • 症例登録を進める上で絶対に押さえておいてほしい大切なポイント

の2つについて説明します。

レポート作成はめんどくさくて後回しにしがちですが、ちゃちゃっと終了してJ-OSLERからの解放を目指しましょう!

※「病歴要約」についての記事はこちらです。沢山の方に読んでいただいています。

症例登録を量産したい人は、こちらのテンプレートを使ってみてください^^

目次

症例登録の具体的な進め方

症例登録において入力する項目は、一覧表があります。

公式HPには以下のような表が載っています。

研修医

・・・分かりにくすぎる・・・

安心してください。

手順自体は簡単なので、ザックリ説明しますね。

①まず、ログイン画面からログイン

②左の 症例 をクリック

③新規登録 をクリック →症例登録のフォーマット画面が出てくる

④患者情報や指導医、施設の打ち込み

⑤症例について500字でまとめ、感想文を300字以内で書く

⑥右下の確認画面へ進む→登録画面へ進む

以上の流れになります。

上記の操作自体は簡単ですし、やっていれば覚えるので解説の余地はありません。

おちば

それでは次に、症例登録を進める上で大切なポイントについて説明していきます!

症例登録を進めていく上で大切なこと

①質より量を重視しよう

症例登録は、質より量です。

細かいことを気にしすぎず、とにかくたくさん作っていくのがオススメです。

理由は3つ!

①必要な症例登録数が多すぎる
②疾患登録しなければ、病歴要約に進むことができない
③症例登録は、外部機関のチェックがない

必要な症例登録数が多すぎる

まず、専攻医のボーダーラインとして、

  • 専攻医2年目までに120症例
  • 専攻医3年目までに160症例

の登録が必要となります。

専攻医

こんなにたくさん作らないといけないのか・・・!!

かなりの量になるので、早く進めていかなければ、あっという間に3年経ってしまいます。

★症例登録の必要な数が多すぎる!→早めに作るのがおすすめ!

症例を登録しなければ病歴要約を始められない

病歴要約は、「この症例について書きたい!」と思ったタイミングで書けないことが多いです。

何故なら、事前に症例登録を済ませておく必要があるからです。

症例登録は、提出した後に指導医のチェックを経て、登録完了になります。

つまり、

病歴要約を書くまでの流れ

症例登録を書く

指導医に症例を提出

(→必要に応じて修正)

→登録完了

→ようやく「病歴要約作成」ボタンをクリックできるようになる

→病歴要約の作成を開始!

という手順を取ります。

つまり、早めに症例登録を済ませておくことで、病歴要約にすぐに取り掛かることができます。

病歴要約を書く前段階として、症例登録は早めに済ませておくのが吉!

症例登録は、外部の指導医によるチェックがない

研修医

そうは言っても外部の先生のチェックもあるなら、丁寧に書かなきゃいけないんじゃないの?

と思う方もいるかもしれません。

しかし、外部の機関の指導医は症例登録を見ることはできません。

外部の指導医が見れるのはあくまで「病歴要約」のみ。

基本的にチェックするのはご自身の医療機関にいる指導医だけです。

よって、自身の指導医のチェックでOKをもらえたら、大丈夫です。

クオリティを上げるための時間と労力と情熱は、全て病歴要約の考察に取っておきましょう。

**********

以上の3点から、質はそこそこに、ガンガン症例登録をしていくことをおすすめします。

★症例登録は、外部のチェックが無い→質より量を重視しよう!

②チェックの速い指導医に承認をお願いしよう

症例登録を依頼する指導医は、一緒に診療したかどうかではなく、チェックの早い指導医にお願いするようにしましょう。

先程お伝えしたように、J-OSLERはたくさんの症例登録が必要です。

症例登録をする際は、その症例レポートをチェックする指導医をこちらで指定します。

その症例ごとに診療した指導医に依頼するのが基本ですが、

指導医によっては、チェックが遅すぎる先生や、J-OSLERシステムに慣れておらず使い方すら知らない先生もいます。

専攻医

上級医だから何でも知ってるわけじゃないんだよなあ・・・

おちば

こういった先生に依頼した場合、1年以上承認を放置されてしまったり他の先生に提出しなおす必要があったりと、大変な目にあうことがありますね💦

そこでオススメなのは、

提出先として必ずしも一緒に症例を診療した指導医」だけでなく

・一緒に症例を診療した指導医の診療科の部長
自分の所属する診療科の指導医

も候補にいれること。

そして、その中で最もチェックが速い先生にお願いするようにしましょう。

おちば

僕の場合は、自分の診療科の部長がとても仕事がデキる先生だったので、他の診療科で経験した症例に関してもその先生に依頼してました。

自分の所属する診療科の指導医に、関係のない疾患のレポートを見てもらうのは気が引けるかもしれませんが、どっちみち病歴要約のときは、全例依頼することになるので、特に問題ありません。

★チェックの速い指導医に提出しよう!(必ずしも一緒に診療した指導医でなくてもOK

③疾患群の制覇を優先する

症例登録をひたすら増やす、いわば「量産」をする作業は、全ての疾患群の症例を登録し終えてから行うのがおすすめです。

疾患群についてあまり馴染みのない方もおられるかと思うので以下に説明しますね。

疾患群とは

症例登録を進める上で面倒な注意しておくべきものです。

前回、準備しておくものの一つとしてご紹介した研修手帳には、こんな風に経験すべき疾患の一覧が載っています。

研修手帳には以下のような記載があります。

【各領域の疾患群の数】

「消化器」9「循環器」10「内分泌」4「代謝」5「腎臓」7「呼吸器」8「血液」3「神経」9「アレルギー」2「膠原病および類縁疾患」2「感染症」4「救急」4

・疾患群の数の合計= 67+3「総合内科Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ」

・内科専攻医には,67+3 に大別された疾患群の症例を主担当医として疾患群ごとに最低一つは経験することが求められる.

(・・・中略・・・)専攻医の修了要件は 56 疾患群以上となっている.

おちば

一番左にある1とか2とか番号が振られているものが、それぞれの「疾患群」の番号に当たります。

要するに、

70の疾患群があるから、そのうち56の疾患群でそれぞれ最低でも1症例ずつは症例登録してね

ってことです。

これがかなり厄介で、疾患群によっては「内科志望者全員が経験できるかよ!」と思うものもあります。

個人的に思い入れがあるものとしては、感染症-2とか。

専攻医

呼吸器内科や感染症内科が無い病院だと厳しすぎるのでは・・・💦

あとは、神経-3、4とか。

専攻医

神経-4はかろうじて低カリウム血症で乗り切れるかどうか。
3は、ギランバレーを待つことを祈るしかないか・・・

このあたりでしょうか。

他にも、血液内科や膠原病あたりの疾患群も珍しい疾患が多めです。

早めに一度、目を通しておきましょう!

症例の集め方

専攻医

普通に専攻医してたらこんなに色んな症例、集まらないよ!💦

そんな専攻医のみなさんにも、経験しづらい症例を集める方法は2つあります。

①初期研修医のときの症例を利用(80症例まで可能
②「〇〇の症例が入院したら担当医に入れて」と事前に別の診療科の先生にお願いしておく

しかし、これらはいずれも結構手間がかかる作業になります💦

①については初期研修医と内科専攻医研修をしている施設が違った場合、症例の情報集めるためにわざわざ前の病院に行く必要があります。

②については、他科の先生とのある程度の繋がりがないと難しいのが実情かと思います。

症例集めは中身が薄い割にストレスがかかる作業なので、

本業の仕事や病歴要約を安心して進めるためにも、早めに全疾患群の症例を登録しておいたほうがおすすめです!

おちば

僕は専攻医1年目のうちに全疾患群の症例登録を済ませました。

期限ギリギリだと大変なので、とにかく早めがオススメです。

最低限の疾患群をクリアしてから、症例数を増やしていく。

準備すべきもの

さて、ここまでスピードを重視するための方法をお伝えしましたが、何も考えずに登録を進めているとどの疾患群をクリアしたか、どの患者情報を登録したか、後で分からなくなってしまいます。

そこで、準備すべきなのが、

  • 研修手帳
  • 退院サマリの担当患者一覧

の2つです。

これらをチェックしながら症例登録を進めていきましょう。

専攻医

え?登録状況は、J-OSLERの画面で確認できないの!?

おちば

J-OSLERサイトの「研修実績」→「モニタリング」で確認画面は見れるけれど、指導医からの承認が済んでいないと確認できないんです💦

実例として、僕は全疾患群の症例登録が終わっても、指導医のうちのお一人(非常に多忙)に1年以上承認して頂けていない症例があり、ずーーーっとクリアしていない状態になっていました 笑

↓の黄色い部分ですね。

つまり、指導医の先生が承認するのが遅れると、提出したかどうか後でわからなくなってしまうんです。。。

おちば

せっかく一生懸命作ってるのに、どこまで行ったか進行状況がわからなくなるのは悲しいですよね。

そこで、こんな状態になっても自身では分かるように、手元に研修手帳を準備して逐一チェックしましょう。

退院サマリから印刷した患者一覧にもチェックしておくのもオススメです。

J-OSLERのサイトでは患者名の記載ができないため、患者IDを打ち込まなければ登録の有無を確認できないからです。

★症例の登録ができたら、研修手帳の疾患群と、退院サマリの患者一覧にもチェックを入れて進めていく

※ちなみに、よくよく研修手帳を見ていると、「到達レベル」がAとかBとかCとか書かれていますが、全く気にしなくてOK

はじめの方でもお伝えしましたが、外部の機関から細かいチェックはありません。

最後の一文にも「症例経験を満たしたとみなす」とある通り、症例の担当医にさえ入っていればその症例の登録はできます。

症例登録のポイントまとめ

J-OSLERの症例登録の最重要ポイント3つ!

①症例登録は、質より量。

②チェックの速い指導医にお願いする。

③まずは、疾患の数より疾患群のクリアを優先する

J-OSLERは大変ですよね。

ただ、逆に考えると参入障壁となっているぶん、内科専門医の資格がある人のほうが、医局をやめた後の就職のしやすかったり、給料が変わってきたりすると思います。

効率よく進めていき、自由の身になれるよう頑張っていきましょう!

■おすすめの記事です。

内科専門医をなぜ取るか?について考えてみました。

■J-OSLER〜内科専門医試験の攻略に至るまで、全て書き残しています。

■おすすめの本

・なまけもの時間術

2ちゃんねるの生みの親として有名なひろゆきさんの著書です。

「時間術」という本ではありますが、仕事のスタンスや考え方について述べられており面白いです。

J-OSLERを進めていきつつも、仕事以外の時間も大切にしていきたいですね。

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この記事を書いた人

アラサーの男性医師。内科専門医/透析専門医。腎臓内科として市中病院で勤務しています。
忙し過ぎる研修医〜専攻医を含め若手医師向けに、医師のキャリア・専門医試験/レポート対策・仕事のコツ・医学の勉強・資産形成などのお役立ち情報をまとめています。
仕事も家庭も大切にしたいと思うひとの力になれたら嬉しいです。
趣味は音楽、読書、公園巡り。

コメント

コメント一覧 (4件)

  • こんにちは。ブログ拝見しています。
    今年から内科専攻医になる者です。
    質問なのですが、症例登録は70疾患群全てを埋める必要はあるのでしょうか。
    Joslerのサイトなど見ると、修了要件は最低56疾患群以上の登録とあり、てっきり56種類埋めたらあとは数増やしでいいものだとばかり考えておりました。
    お忙しいところ恐縮ですがよろしくお願いいたします。

  • ななしさん

    コメントをいただきありがとうございます。

    自分が過去に研修手帳を確認した際に、文中で触れているように「内科専攻医には,67+3 に大別された疾患群の症例を主担当医として疾患群ごとに最低一つは経験することが求められる.」と書かれていたので、70疾患群がマストだと思っていました。(実際に僕は70疾患群埋められるよう症例登録をしていました。)

    ただ、今回コメントを頂いて研修手帳のその後の「病歴要約提出に関する基準」の部分を読むと、確かに修了要件については56疾患群で良いようですね…
    念のため実際に本日J-OSLERヘルプデスクに問い合わせてみましたが、ご指摘いただいた通り56疾患群で良いとの返事がありました。

    迷わせてしまって申し訳ないです!記事を訂正させていただきますね。

    なお、ご自身で確認されているかとは思いますが、56疾患群の埋め方については(https://www.naika.or.jp//wp-content/uploads/2018/03/submitted.pdf)にあるようにそれぞれの分野ごとにいくつ以上という基準があるので注意してくださいね。
    また、病歴要約を作る予定の症例については疾患群がかぶっていると登録できないので、要約になるかもしれない症例についてはきちんとバラけさせておくことは注意いただいておいたほうがいいかと思います。

    今後も先生たち後輩の役に立つような記事を作っていきたいと思っていますが、こういった指摘は大歓迎ですので、読んだ際にお気づきのことがありましたらいつでもコメントください。ありがとうございました!

  • こんにちは
    とても有益な情報ありがとうございます。
    一点質問させていただきたいのですが、初期研修の頃に集めた症例を症例登録する際に、
    症例指導医の先生に承認を頂く必要があると思います。
    その症例指導医とは、初期研修の頃に実際に指導をいただいた先生のことでしょうか?
    それとも、その先生の名前をjoslerに登録はするけれども、承認するには専攻医で努めている病院の先生でしょうか?
    お忙しいところ大変恐縮ですが、返信頂けると幸いです。

    • おさめ先生
      コメントいただきありがとうございます!

      J-OSLERの初期研修症例の症例指導医は、専攻医として現在勤めている病院の指導していただいている先生の承認でOKです!
      また、指導医がその症例を経験した診療科でなくても構いません。
      (僕は、腎臓内科の上司に胆嚢炎やら脳梗塞やら初期研修で経験した症例も承認を貰っていました。)

      逆に、初期研修のときの先生から承認してもらうことができるかどうかは未確認ですが、
      通常であれば、いま働いている施設の指導医にまとめてお願いするのが楽だと思います。

      レポート大変だと思いますが、応援しています!
      微力ながら参考になれば幸いです!

      おちば

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