【気になる論文】マグネシウムの補充によってCKD患者の血管石灰化スコアは変わらない?:MAGiCAL-CKD試験

目次

CKD患者において、マグネシウムの投与は血管石灰化を予防する可能性があるとされているが…

■マグネシウムは、動物実験などでCKDにおける血管石灰化を防ぐとされています。また、血清マグネシウムの低下はCKDにおける心血管イベントのリスク上昇と関連しているとされています。

■そんな中で、JASN誌に、マグネシウム投与しても血管石灰化の予防はできないのではないか?というランダム化比較試験が報告されました。

Bressendorff I et al. The Effect of Magnesium Supplementation on Vascular Calcification in CKD: A Randomized Clinical Trial (MAGiCAL-CKD). J Am Soc Nephrol. 2023 May 1;34(5):886-894. 

eGFRが15~45ml/minの被験者148名を登録し、マグネシウム投与群とプラセボ群にランダム化して、12ヶ月間投与後の冠動脈石灰化(CAC)スコアを比較した。

背景

■血清マグネシウム濃度の上昇は、CKD患者における心血管イベントのリスク低下と関連している。また、マグネシウムはCKDの動物モデルにおいて血管の石灰化を予防する。

方法

■マグネシウムの経口補給がCKDにおける血管石灰化の進行を遅らせるかどうかを調べるために、

■無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果で評価された。

■eGFRが15~45ml/minの被験者148名が登録され、水酸化マグネシウム15mmolを1日2回経口投与する群とマッチングプラセボを12ヶ月間投与する群にランダムに割り付けた。

■主要評価項目は、ベースラインのCACスコア、年齢、糖尿病で調整した12ヵ月後の冠動脈石灰化(CAC)スコアの群間差とした。

結果

■合計75人の被験者にマグネシウムを、73人にプラセボを投与した。

■ベースライン時のeGFR中央値は25ml/min、ベースライン時のCACスコア中央値はマグネシウム群で413点、プラセボ群で274点だった。

■血漿マグネシウムはマグネシウム投与群で有意に増加したが、ベースライン調整後のCACスコアは12カ月後に両群間で有意差はなかった。

■ベースライン時のCAC>0、糖尿病、血清石灰化傾向の3分位による事前指定サブグループ解析は、主要結果を有意に変化させなかった。

■消化器系の有害事象があったのは、マグネシウム投与群では35人、プラセボ投与群では9人であった。

■マグネシウム投与群では死亡5例、心血管イベント6例が発生したのに対し、プラセボ投与群では死亡2例、心血管イベント0例であった。

結論

■血漿マグネシウムが有意に増加したにもかかわらず、12ヶ月間のマグネシウム補給はCKDにおける血管石灰化の進行を遅らせることはなかった。

感想

・Mg補充は、以前は腎機能が悪い人には禁忌とされていましたが、最近はむしろ高めのほうが良いかもしれない、といわれています。

Mgと血管石灰化

・マグネシウムは、リン酸カルシウムの結晶化の抑制効果があるかも、と言われている

・実際、多くのin vitro実験でマグネシウムはリン酸による血管平滑筋細胞の石灰化を抑制するとされている。(Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2017;37:1431–1445. )

・5/6腎摘出マウス(Kidney Int. 2017;92:1084–1099.)やKlothoノックアウトマウス(Kidney Int. 2020;97:487–501.)で発症した大動脈石灰化を予防するとされている。

・非透析CKDステージG3およびG4の患者96名を対象としたランダム化比較試験において、冠動脈石灰化の進行に対する酸化マグネシウム経口投与の有効性が評価されたところ、2年間でCACスコアの変化率は有意に小さかった。この試験では、酸化マグネシウムが腸管でのリン酸吸収を抑制することでリン酸代謝を調節してしまったからかもしれない、というlimitationが指摘されている。(J Am Soc Nephrol. 2019;30:1073–1085.)

・今回の論文は、これまで言われていた「マグネシウムは意外と良いのでは?」という期待に反するような結果でした。

・酸化マグネシウムではいい結果が出たのに、なぜ水酸化マグネシウムではうまく行かなかったのか、不思議ですね。製剤の違いなのか、それとも、今回の論文の患者さんのほうが腎機能がすこし低い群だったからなのでしょうか?

・ちなみに、水酸化マグネシウムの商品名は「ミルマグ」。僕は酸化マグネシウムしか使ったことがないので、いまいちイメージができません。。。

・でも、この論文だけで「マグネシウムはやっぱり意味がないんや!」と結論を出すのはまだ時期尚早かも。

・今後とも、マグネシウム界隈の動向には目を離せないですね。

参考文献

Sakaguchi Y. The emerging role of magnesium in CKD. Clin Exp Nephrol. 2022 May;26(5):379-384.・・・マグネシウムとCKDのreview。

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この記事を書いた人

アラサーの男性医師。内科専門医/透析専門医/腎臓専門医。
腎臓内科医として市中病院で勤務しています。
忙し過ぎる研修医〜専攻医を含め若手医師向けに、医師のキャリア・専門医試験/レポート対策・仕事のコツ・医学の勉強・資産形成などのお役立ち情報をまとめています。
仕事も家庭も大切にしたいと思うひとの力になれたら嬉しいです。
趣味は音楽、読書、公園巡り。

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