「CKD治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用のrecommendation」で知っておきたい3つのポイント

2022年11月29日に、日本腎臓学会から「CKD 治療における SGLT2 阻害薬の適正使用に関する recommendation」が出されました。

今回のrecommendationは、真新しい内容はあまりないのですが、これまでの様々なエビデンスを簡潔にまとめているという点で意義が大きいと感じます。

SGLT2阻害薬が、本格的にCKDのfundamental drug(とりあえず入れておくべき薬)として使う流れが来ているように感じます。

専攻医

腎臓内科以外は、関係ないのでは?

と思う方もいるかもしれませんが、今回のrecommendationは内科外来を受け持っているすべての内科医が知っておくべき内容といえます。

おちば

食わず嫌いせずに、一読しておきたい22ページです。

自分の備忘録も兼ねて、このrecommendationの内容をまとめておこうと思います。

目次

CKD治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用のrecommendationの3つのポイント

重要なポイント

①DM、蛋白尿で分類したフローチャート

②腎原疾患と合併症を把握する重要性

③initial dipなど、使用上の注意点

①フローチャート

このrecommendationの一番の売りは、このフローチャートです。

「CKD 治療における SGLT2 阻害薬の適正使用に関する recommendation」より

糖尿病合併か非合併かで分類し、その後に蛋白尿の有無で分類しています。

これを見て分かる通り、

eGFR≧15であれば、ほぼすべてのCKDでSGLT2阻害薬の検討が必要です。

投与を検討する際は、糖尿病の検査と尿検査が必須であることがわかりますね。

腎臓内科へ紹介となるような腎機能が低めの患者さんはもちろん、まだ腎機能がしっかり保たれている(一般内科レベルで診療しているような)患者さんでもかなり多くの人がターゲットになりそうですね。

おちば

体感ではなんとなく感じていたけれど、改めて明文化されてみると、大切な薬であることがわかりますね。

あとは、さりげなく書かれていますが、eGFR<15で新規に開始してはいけないけれど、もともとSGLT2阻害薬を使っているのであればeGFR<15でも慎重に続けていいというのは大事なポイントかなと感じました。

②腎原疾患と、合併症を把握する重要性

とはいえ、CKDの患者さんの中にも投与を悩む事例は少なくないはずです。

研修医

蛋白尿もないし、DMもないけど、この人入れるかどうか悩むなあ

とか

専攻医

値段が高い薬だから、気軽に入れるのも悩ましいなあ

とか、思いますよね。

そんなときには、腎原疾患が何か?合併症が何か?を知っておくことで判断しやすくなりそうです。

このrecommendationによると

●IgA腎症、FSGS・・・入れたほうが良い

●多発性嚢胞腎、SLE、AAV、免疫抑制療法中の患者・・・十分なエビデンスなし

みたいです。

おちば

腎原疾患がハッキリしていないのであれば、なるべく早い段階で腎臓内科コンサルトで原疾患の推定を依頼しておくことが重要ですね。

また、有益性投与の判断基準として、合併症についても知っておく必要があります。

貧血,脂質異常症,高尿酸血症を有する CKD に対する SGLT2 阻害薬の投与は有用である可能性があるようです。

あとは、肥満の患者についても投与がベターですね。

専攻医

そのへんの合併症は、むしろない人のほうが少ない印象だな

③initial dipなど、使用上の注意点

SGLT2阻害薬は、一時的にeGFRが低下することが知られています。(initial dip)

このrecommendationでは2週間〜2ヶ月程度にeGFRを評価し、その後もeGFRが維持されている事を確認するのが望ましいとされています。

専攻医

いつものノリで3ヶ月間外来を空けるのはちょっと危ないかもやな

また、他にも注意すべき点としては、

食事摂取量の不足,栄養不良状態,飢餓状態,激しい筋肉運動,過度のアルコール摂取,副腎機能不全,下垂体機能不全,シ ックデイなどの状況下では低血糖正常血糖ケトアシドーシスなどの代謝異常を生じる可能性がある

とされており、SGLT2 阻害薬の中止を考慮するように記載されています。

食事摂取ができない手術が予定されている場合には,術前 3 日前から休薬し,食事が十分摂取できるよ うになってから再開する. と具体的に記載されていますね。

利尿薬を使用している CKD 患者や血糖コントロールが極めて不良な糖尿病患者で は,脱水や急性腎障害を来す可能性があるため注意が必要である. 

高齢 CKD 患者への投与の際には,サルコペニアやフレイルの発症・増悪に注意す る. 

SGLT2 阻害薬は糖尿病“非”合併 CKD 患者においても尿路・性器感染症の発症・増悪が懸念されるため,投与後は注意を払う必要がある. 

このあたりは有名な有害事象なので、必ず覚えておきたいところです。

まとめ:

重要なポイント

①DM、蛋白尿で分類したフローチャートをチェック。eGFR15がボーダー。

②腎原疾患と合併症を把握した上で適応を判断する

③initial dipなど、使用上の注意点は気にしておく。

CKD患者にSGLT2阻害薬が効果があるというエビデンスが蓄積されてきたこのタイミングで、分かりやすい感じのまとめが出てきてありがたい限りですね。

機会があれば、日本糖尿病学会から発出されている“糖尿病治療における SGLT2 阻害薬の適正使用に関する recommendation”,“2 型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム”も参考にされたい

と本文にあったので、そちらの方もしっかり読み込んでいきたいと思いました。

・・・ところで、SGLT2阻害薬がFSGSに効くみたいですが、どのタイプのFSGSにも効くんでしょうか?

脂質異常症などのメタボリックな要素で起こる二次性FSGSは効きそうな印象ですが、その他のFSGSでもvariantによって効き方が違ったりするんだろうか・・・などとふと思ったりしました。

また機会があれば調べてみます!

■おすすめの本

・ARNIとSGLT2阻害薬についてシンプルにまとめてみました

ARNIもSGLT2も学べる、分かりやすくお得な1冊でした。

・Dr.長澤の腎臓内科外来実況中継

腎臓内科の外来をする上でかなり便利な1冊です。

■関連記事

recommendationといえば、HIF-PH阻害薬についても同じようなのがありましたね。

最近の薬といえば、CKD界隈ではARNIがアツいですね。

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この記事を書いた人

アラサーの男性。内科医。一児の父。
忙しすぎる若手医師に向けて、初期研修、J-OSLER、専門医試験、育児、資産形成などのお役立ち情報を、自身の経験をもとにゆるゆるアウトプットするブログです。趣味は音楽、読書、公園巡り、電車。

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