【J-OSLERの感想】J-OSLERで得られたものと失ったもの

研修医

J-OSLERって、実際やってみてどうなん?

意外といろんな科の勉強になりそうじゃない?

研修医

J-OSLERしんどいって専攻医の先生たちは言うけど、本当にそうなのかな?

研修医や学生さんは、進路はもう決められたでしょうか。

新内科専門医制度が始まり、J-OSLERと呼ばれる制度が始まっています。

今後の進路を考える上で、J-OSLERがネックで内科を選ぶかどうかを悩んでいる方も多いと思います。

今回は、あくまで個人的な感想ですが、実際にJ-OSLERをしてみてどんな感想を抱いたか、お伝えします。

後半には、J−OSLERによって失ってしまったもの、それに対しての対策も合わせて述べていますので、現在進行系でJ-OSLERをされている方も、ぜひ最後までお読み頂けたら嬉しいです!

おちば

この感想をみて、案外大丈夫そうじゃん!と思う方は内科を選んでも良いと思います。

逆に、絶対こんなの嫌だ!って思う方はやめておいたほうが無難かも。

こんな人におすすめ

●内科にするか、他の科にするか進路を迷っている研修医

●J-OSLERの概要を知りたい学生・研修医

目次

J-OSLERをして得られたもの

得られたもの①レポートのお作法・知識

僕は、いわゆる「野戦病院」的な場所で研修をしていたので、初期研修中、あまり丁寧にサマリーを添削してもらう機会がありませんでした。

(サマリを丁寧に書く時間があれば、もっと他の仕事をしろ!って感じでしたね)

そんな状態で専攻医になったので、病歴要約もうまく書けませんでした。

しかし、J-OSLERの病歴要約29症例を作成する時には、指導医が一つ一つのレポートを丁寧にチェックしてくださったので、レポート作成の際にどのような点に気をつけるべきか、何回も書くうちに分かるようになりました。

これらの学びは、今後、症例報告を書いたり、論文を作ることになったりする際に参考になると思います。

※ただし、指導医によってはチェックが雑な可能性もあるので、全ての専攻医が丁寧な添削を受けられると決まっているわけではありません💦

専攻医

最初から最後まで、「指導医ガチャ」といえるのが、J-OSLERなのか…トホホ

※ただ、大学病院や一部の教育熱心な施設で初期研修を受けた先生方は、カンファレンスやサマリー作成の指導が丁寧であることが多いです。

その場合は、J-OSLERをやっても、新しく学ぶことは少ないかもしれませんね💦

得られたもの②指導医と仲良くなれた

指導医の先生とは、J-OSLERという共通の敵をたおす目標をクリアするため指導をいただく中で、仲良くなれたように思います。

J-OSLERのレポート提出画面では、指導医と担当医がコメントを記載するコーナーがあるので、お互いに一言ずつ書くことで、ちょっとした交換日記みたいな感覚で指導を頂くことができました。

↑こんな感じ。実際には、もっとフランクなやり取りをしていました。笑

僕ら専攻医よりも忙しく、責任のある立場にあるにも関わらず、丁寧なレポート添削・指導をしていただいたので、本当に指導医の先生には感謝しかありません…

おちば

僕は別の病院に移りましたが、今もよく連絡を取り合う仲になってます。J-OSLERのおかげといっても過言ではないかも?

得られたもの③(わずかに)内科の知識がついた

レポートを作成する中で、それぞれの領域の疾患について、ほんのりとした知識はついたように思います。

一つ一つの疾患を参考書なり論文なりを勉強しながらまとめるので、当然といえば当然です。

しかし、多くの方は経験を通じて分かっていると思いますが、実臨床に生きる知識は、レポートを作っただけですぐに使えるようなものではありません。

例えば、血液腫瘍の治療方法をガイドラインに基づき調べレポートを作ったとしても、同じ疾患でも患者背景が異なれば別の治療方法が選択肢となることは多々あります。

何度も同じような患者さんの診療にあたり、微妙な薬の使い分けを知り、上級医の意見を聞き、自分で文献を調べるなど、実践することのみでしか自分の中での診断や治療の型のようなものは出来ていきません。

そのため、J-OSLERをやっていて良かった!!と感じるような知識の恩恵に預かったことは往々にして少ない気がします💦

J-OSLERで失ったもの

失ったもの① 時間

J-OSLERはとにかく時間がかかります。

具体的にどのくらいの時間を失ったか、計算してみましょう。

J-OSLERの病歴要約と症例登録で失った時間

病歴要約1つあたりに3-4時間 → 29症例で約100時間

症例登録1つあたりに30分   → 160症例で約80時間

=のべ、180時間の損失

180時間・・・決して短いとは言えないですよね。

専攻医

こんだけ頑張って作ったレポートも、学会発表や論文とは異なり、社会に通用する実績になるわけではないんだよな・・・ 

また、地味に初期研修時代の病院に行く手間もかなり痛いです。

おちば

僕は、一次評価、二次評価、revisionなどの際に、退院サマリを参考にするために初期研修をした病院と自宅を4往復もしました💦

初期研修と後期研修(内科専門医プログラム)を別の病院で過ごしている方は、初期研修時代の症例をJ-OSLERに使用するために、データを取りに行く必要となります。

仕事の合間を縫って昔働いていた病院へ戻り、患者情報を回収し、データを打ち込み、家に帰るという作業は、非常に時間と労力がかかります。

できる対策は?

内科専攻医は、研修医よりも責任のある立場に立たされ、日常診療での作業量も多く、医師としての技術を身につけるために勉強も必要な、非常に忙しい時期です。日中に悠々とレポートを書く時間は少ないと人が多いように思います。

時間がない中でどう捻出するかが課題となりますね。

対策①他科ローテを有効活用

幸い、J-OSLERが始まってからは専攻医の時期に一定期間、他の診療科をローテーションすることが増えています。

他科を回る時期は、本業の自分の科での責任は少なく、忙しさも比較的マシなことが多いです。

他科ローテ中がレポートを作るチャンスかもしれませんね。

対策②時間の使い方を工夫

また、時間の使い方自体も工夫して、仕事の効率アップを図るのは重要です。

無駄な仕事、自分ではなくてもできる仕事は何でも引き受けるのではなく、自分のキャパを考慮して選んでいきたいところです。

(言うは易く行うは難しですが・・・)

たとえば、当直や日常診療の合間など病院のPCと簡単にアクセスできるタイミングで、必要な症例登録の整理や、サマリの印刷などをしたりしておくと、病院にいないときでも作業をすすめることができます。

対策③出産育児が忙しいなら、産休育休をちゃんと使おう

また、僕は専攻医になってから子が生まれたので、育児家事と日常診療をする中でレポートの時間をやりくりするのはかなりキツかったです。

育児休業を取っていなければ、計画的にJ-OSLERを終わらすことは出来なかったかもしれません。

考えられる対策をまとめておきますね。

時間がなくなることへの対策

●他科ローテーション中にできるだけレポートを進めておく。

●時間の使い方を工夫し、無駄な仕事を極力避ける

●出産・育児が大変なら無理せず産休・育休を取る。その間にレポートを書く。

失ったもの②お金

上記の「時間が失われる」ということは、収入も減ると同義と言っても過言ではありません。

もちろんその時間をバイトのみに費やしてもお金になりますし、自己投資として読書に費やしても、それなりのリターンがあるはずです。

 医師に人気の資格として名高い産業医の資格は、産業医科大学などで行われている短期集中講座を使うことで6日間程度でできます。J-OSLERより、よほど効率が良さそうですね・・・

180時間でできること

時給1万円のバイトをしていたら → 180万円の収入

1冊3時間で読める本を読むとしたら → 60冊の読書

日数換算で言えば7.5日    → 集中講座を使えば、産業医の取得は6日間程度で可能

勿論お金だけが人生ではありませんが、専攻医は結婚や出産などのライフイベントを経験する方も少なくないため、独身のときには感じなかったお金の重要性を感じ始める人も多いです。(少なくとも僕は価値観が変わりました。)

今後も斜陽産業と陰口を叩かれている医療業界。

医師の給料は今後減る可能性もあるというご時世ですし、お金は大切に使いたいですね💸

お金を失うことへの対策

●そもそも楽なバイトを選んで、そこでJ-OSLERのレポートをする

●無駄な出費を押さえて、節約をする

●家計簿をつけて収支を健全化する

モチベーション

上記のように、ジワジワとJ-OSLERによって時間やお金に余裕がなくなると、どうしても仕事のモチベーションを保つのは難しいです。

早朝〜夕方にかけて一生懸命仕事をして、ようやく1日が終わっても、本来なら息抜きに使えていたはずの時間をJ-OSLERに奪われ、レポートを夜中に提出。翌朝も早朝から仕事・・・

という忙しい毎日が続くと、誰しもが心折れそうになりますよね💦

ハイパーめな診療科であれば、日常診療の勉強する時間の捻出はプライベートの時間や睡眠時間を削らなければ難しいでしょう。

こういった背景で、専門医の取得を諦めたり、学習への意欲を削がれたりしている方も少なくないように思います。

モチベーションの維持は難しいですが、こんな対策はどうでしょうか。

  • レポートをいくつ作ったら〇〇を食べる/買う のように、自分へのご褒美を準備する
  • 同期と協力しあう。コミュニケーションを取りあう。
  • 遊んだりリラックスするときは、思いっきりオフる。

指導医・専攻医の声

実際にJ-OSLERを経験している専攻医、指導医はどのような感想を抱いているでしょうか。

少し調べてみました。

専攻医の声

研修医・専攻医の中にはJ-OSLERさえなければ内科を選んだ・・・という方もチラホラおられます。

すごく、わかる気がします。僕はもう内科を選んでしまった身ですが・・・笑

逆に、J-OSLERをそこまで恐れなくてもいい、という意見もあります。

必要以上に恐れる必要はありませんが、大変なことには変わりないです💦

指導医の声

指導医の先生方は、ただでさえ普段から忙しいのに、余計な仕事が増えてしまって大変そうです。

僕も愛用している本で「感染症プラチナマニュアル」があります。

この本の著者として有名な感染症内科医の岡先生も、このようなツイートをされています。

指導医の先生は、病歴要約の誤字脱字から内容までチェックせねばならず、あまりに負担がかかってしまう制度です。

今後改善があればいいのですが💦

まとめ

J-OSLERで得たものと失ったもの

得られたもの:レポートのお作法、指導医との関係、(ほんのりとした)知識

失ったもの:時間とお金とモチベーション

いかがだったでしょうか。

上記の通り、J-OSLERは色々と大変な制度ですよね。

しかし、(無理矢理ですが)ポジティブに考えてみると、J-OSLERを乗り越えたというだけでも多少なりともハクが付くような時代になる可能性もあります

(もちろんその保証はどこにもありませんが。。。)

ただ、内科医という仕事は、しんどいことが多くてもなお日々の学び一つ一つに面白さがあって、楽しめる魅力的な職業だと思っています。

そのため、現行の制度が変わるまでは、耐え忍んで内科専門医を取得し、自分の最終的にやりたいことに繋げていくのが良いのではないかと考えています。

逆に、内科にそこまで興味がなく、コスパよく医師として働いていきたいならJ-OSLER以外の道を選ぶほうがいいかもしれませんね。

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この記事を書いた人

アラサーの男性医師。内科専門医/透析専門医/腎臓専門医。
腎臓内科医として市中病院で勤務しつつ、フルタイム妻と一緒に実家遠方子育て中。(育児休業後)
忙し過ぎる若手医師向けに、医師のキャリア・専門医試験/レポート対策・仕事のコツ・医学の勉強などお役立ち情報を発信しています。
医師として頑張りたい、けれど家庭やプライベートも同じくらい大切にしたい!
そんな人の力になれたら嬉しいです。
趣味は音楽、読書、公園巡り。

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