【一流の学び方】勉強したことを仕事に活かすコツ

研修医

国家試験が終わって、研修医になったぞ!いっぱい勉強したし、職場ではバリバリ働くぞー!

専攻医

研修医くん、国家試験で勉強したことなんて、仕事では全然役に立たないよー

研修医

え!そうなんですか!?!?勉強しても意味ないってことですか??

専攻医

うーーん、意味ないわけじゃないんだけど。。。(どう伝えたらいいかわからないな💦)

目次

なぜ国家試験に合格しても研修医1年目の春は何もできないのか?

医学生のときに

「国試の勉強なんて、実臨床では役に立たない」

と先輩医師たちから一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

僕はあれだけ頑張ってした勉強が役に立たないわけないはず・・・と、学生の時、不思議でたまりませんでした。

しかし、実際に研修医になって、確かに勉強の仕方を変える必要があると感じることがたくさんありました。

社会人になってからは、勉強内容をいかに仕事での成果に繋げることができたかで評価されます。

しかし残念ながら、医師は勉強内容をどうやったら効率よく仕事に活かせるかについてを学ぶためのまとまった機会はなく、それぞれが我流で学んでいるのが実情だと思います。

最近、清水久三子さんの「一流の学び方」という本を読み、役に立ちそう!と感じたのでご紹介します。

『一流の学び方』を読んで、勉強内容を仕事に活かす方法を学ぼう

この本の要点をまとめます。

この本のまとめ

①学生の勉強と、社会人の勉強は、質が異なる

②学習の4ステップを意識する

③概念の理解:インプットにかける時間はなるべく短くする

④具体の理解:とにかくアウトプットに時間を使う

⑤体系の理解:図にしてまとめてみる

⑥本質の理解:一言で、人に教える

以下、詳細を見ていきます

①学生の勉強と、社会人の勉強は、質が異なる

社会人が意識すべきことは、学生と社会人では勉強の質が異なるということです。

学生の時の勉強は、決まった学習範囲をテキストに沿って勉強し、試験に合格するための、いわば「暗記主体」の学習方法

一方で、社会に出てからは、テストのように試験範囲は決められておらず、限られた時間の中で効率よく知識を身につけ、仕事や稼ぎに結びつけることが重要となります。

前者は「チャイルドエデュケーション」、後者は「アダルトラーニング」と言われています。

たとえば、

研修医

ハリソンを3周読んだぜー!

と言う人がいます。

確かにハリソンを読みきることは凄いです。

しかし、厳しい言い方をするなら、ただ読むだけなら「誰でもできる」、チャイルドエデュケーションの状態です。

一方で、ハリソンで得た知識を自分なりに咀嚼し、カンファレンスでのディスカッションや実臨床での判断を行うことができて、初めて価値のあるものになります。

これは、「アダルトラーニング」と言えます。

では、具体的にどのようにして「アダルトラーニング」ができるようになるのでしょうか?

②学習の4ステップを意識しよう

著者は、仕事のための学習には4段階のステップがあるといいます。

理解の4ステップ
  1. 概念の理解:基本知識を「知っている」

2. 具体の理解:経験として「やったことがある」

3. 体系の理解:プロとして「できる」

4. 本質の理解:第三者に「教えられる」

このうち1,2の段階では、まだ学び自体に価値はないとされ、3,4の段階までステップアップすることで初めて価値のあるものになります

医師でたとえるなら、こんな感じでしょうか。

医師の、学びの4ステップ

1.概念の理解:医学生レベル

 国家試験的な内容(基本的な鑑別、治療方法)を勉強する。

2.具体の理解:研修医レベル

 マニュアルをみつつ上級医と共に診療できる。

3.体系の理解:専攻医レベル

 自分で考えてオーダーできる(最終確認や一部の不明点のみ上級医に確認する)

4. 本質の理解:指導医レベル

 研修医、専攻医に教えられる。自分一人でできる

※上記の表では、わかりやすいように「研修医レベル」、「専攻医レベル」などと書いていますが、実際の専攻医や指導医でも「ステップ1」にいる人はいますし、研修医でも「ステップ3」レベルの人はいます。

ここで大切なのは、

実践で使える「体系の理解」や「本質の理解」まで理解を深めることで、初めて学びに価値が出てくるということ。

分野ごとに、自分は学習の4ステップのうちのどの辺にいるのか?を漠然とでいいのでイメージすると、学習にメリハリがつきます。

ここからは、具体的な4ステップについて解説します。

③概念の理解:インプットになるべく時間をかけない

著者は、「インプットになるべく時間をかけない」ことが重要としています。

コンサル業界では、具体的には一分野につき1週間から1ヶ月で学ぶようです。

初期研修医で知らない診療科を回る際に、1週間である程度のその診療科の内容を学ぶ、といった感じでしょうか。

未知の分野を学ぶのは、とても大変です。

医学書は内容が難しい分、いきなり本を1冊読もう!!としても、気がつけば時間だけが過ぎていくことも少なくありません。

その結果、「概念の理解」を達成せずに挫折してしまいます。

そこで積極的に検討したいのは「情報マップ」「学習ロードマップ」を作ることです。

●情報マップとは、勉強すべき内容が書いてある本やネットのページ、雑誌などを一覧にしたものです。

参考文献のリストみたいな感じでしょうか。

おちば

たとえば、ぼくが以前AKIについて勉強しようと思って作ったリストはこんな感じ。

●学習ロードマップとは、情報マップの文献をどのくらいの時間をかけて読んでいくかを図にしたものです。

おちば

さきほどのリストに、何月何日に読むかを記載して順にしてみました。

これらの段階を踏むことで、

●学習すべき内容の全体像を把握した上で

●いつ、何の本を読むか

を決めることができるので、無駄なく最短で学習が終了します。

④具体の理解:とにかくアウトプットに時間を使おう

ステップ2として、具体的な方法を実際の職場で学んでいきます。

効率よく学ぶためには、なるべくアウトプットに時間を割くのが大切です。

また、インプットした内容は、学んだ直後にアウトプットするのが効率的です。

アウトプットしようとする=何が書いてあったかを思い出す作業になりますし、

頭の中で反芻し整理する作業が行われることで記憶に定着しやすくなります。

実際に仕事をする中で経験していくことも立派なアウトプットですが、

著者は、「ラーニングジャーナル」、すなわち自分で学んだ内容をブログやSNSなどでアウトプットする作業も大切としています。

人の目に触れるものとすることで、それなりにキチンとした形にまとめる意識がつきますし、他人とも交流するきっかけになるからです。

また、本の知識以外にも、自分の経験や上司から教わった内容など実践的な知識もどんどん書いていくのが良いです。

仕事をする中で、肌で感じた経験は、本では学べない貴重なものですので、大事にしましょう。

ポイント:「概念の理解の前」と、「具体の理解の後」は挫折しやすい

著者は、勉強する時に挫折しやすいポイントとして「概念の理解の前」と、「具体の理解の後」を挙げています。

たとえば、研修医が低ナトリウム血症のことを学ばなければならないとなった時。

浸透圧を確認して偽性低ナトリウムの除外して、体液に応じて鑑別して、数値をみて計算して、補液の種類、量を増やすか減らすか考えて・・・などなど。

国家試験で勉強したとしても、すぐに一人で対応するのは難しい分野だと思います。

こんな時に

研修医

まあ、よくわからんけど明日上級医に確認しておくか・・・

となるのは、「概念の理解」の前ステップでの挫折です。

一方で、総合内科病棟マニュアル↓やUpToDateなどを読んで鑑別の方法を考え、治療も頭にいれたとします。

研修医

いっぱい勉強した!明日上級医先生からの質問に答えられそうやな

と、ここで学習を終えてしまうのが「具体の理解」の後の挫折です。

大事なのは知識を入れた後、自分なりにある程度の仮説を立てられるくらいにまで持っていくことです。

そうすることで、カンファレンスで意味のあるディスカッションが出来たり、実際の臨床で使える形と言えます。

すなわち、ステップ3、4にたどり着くことができます。

具体的に、ステップ3、ステップ4までたどり着くには、どうやって勉強すれば良いのでしょうか?

本を読む以外にできることはあるのでしょうか?

⑤体系の理解:図でまとめてみよう

インプットを終えて、ラーニングジャーナルなどを利用してアウトプットをしていったら、学んだ内容を図でまとめて体系化してみましょう。

この図は、自分なりに使える形にするのが大切です。

シンプルにするとこんな感じ。

それぞれの詳細はこんな感じ。↓

(図はあくまで一例です)

自分用なので、読んでおられる方にわかりやすいかはなんとも言えません笑

ただ、自分なりにまとめてみると、「今やっていることはこの図のうちのこの辺だな」とイメージしながらできるので、抜けや漏れが出にくいと感じました。

この図はマインドマップというアプリを使っていますが、図を作るには手書きやパワーポイントなどなんでもいいです。

(個人的には、あとで追加・修正しやすいデジタルなツールがおすすめ)

また、図形は上のような樹形図以外にも様々なものがあるので、本書を参考にしてみてください♪

⑦本質の理解:一言で、人に説明できるようになろう

最後に、本質の理解です。

体系化した知識の中で、必要なものを一言で表すことができる状態を目指しましょう。

たとえば、本当に優秀な上級医って、質問に対して端的に説明してくれますよね。

逆に、本の内容をとりとめもなく話し続ける指導医の話は、あまり頭に残りにくいです💦

全ての分野を何でも知っている!という境地に達するのは難しいですが、少なくとも自分の専門分野については、エッセンスとして自分なりに一言で説明できるようにしたいですね。

おちば

カンファレンスの前に一人でプレゼンしてみるのも練習になるよ

まとめ

医師は、日々勉強することのウェイトが大きい職業なだけに、学び方を考えることはとっても大事だと思います。

国試の勉強をしただけだと、あくまでステップ1止まりなんですよね。

仕事に活かすには、自分なりに必要な情報を取捨選択してまとめ、アウトプットできる形に持っていくことが大切です。

この「一流の学び方」は、勉強を効率よく価値のあるものにする方法が書かれており興味深い1冊でした。

**********************

以下、おすすめの本です。

◾️武器としての図で考える習慣

清水久三子さんと同じく、コンサルタントの方が書いた本です。

ステップ3の「体系の理解」において、使えるツールについて詳しく書かれていておすすめです。

2022年2月の時点ではkindle unlimitedで無料で読めます。

◾️コンサル1年目が学ぶこと

仕事を始めた1年目に何をどうしたらいいのか分からない、という方におすすめの本です。

わかりやすくエッセンスがまとまっています。

この本の図解バージョンもあります。

●こんな記事も書いています。

研修医の勉強方法について、自分の失敗談を交えながら、対策をまとめています。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

アラサーの男性医師。内科専門医/透析専門医/腎臓専門医。
腎臓内科医として市中病院で勤務しつつ、フルタイム妻と一緒に実家遠方子育て中。(育児休業後)
忙し過ぎる若手医師向けに、医師のキャリア・専門医試験/レポート対策・仕事のコツ・医学の勉強などお役立ち情報を発信しています。
医師として頑張りたい、けれど家庭やプライベートも同じくらい大切にしたい!
そんな人の力になれたら嬉しいです。
趣味は音楽、読書、公園巡り。

コメント

コメントする

目次