こんにちは!内科専攻医のおちばです!
内科専門医を目指すみなさんは、J-OSLERと呼ばれる制度を知っておられると思います。
でも、
「よくわからん・・・」
「時間がかかりそう・・・」
など、不安や不満は多いと思います。
僕も専攻医をスタートした時点では、わからないことだらけでした。
しかし、後回しにしてJ-OSLER留年なんてしようものなら、最悪の場合専門医になれないリスクがあります💦
そこで、僕個人が
「J-OSLERを始める前に知っておきたかった!」
と思う注意点や知っておくべきことをお伝えします。
なるべく効率よく、けれど無難に、J-OSLER乗り切っていきましょ!
★このシリーズでは、J-OSLERをする方に、僕が思う「最低限知っておいたほうが良さそうなこと」と、「それなりに無難に乗り越えるためのコツ」をお伝えします!
★そのため、「完成度の高いレポートづくり」を目指している先生には参考にならないと思いますので、あしからず!笑
本日は、
①最低限知っておくべき制度内容
②スムーズに進めるために、準備しておくべきもの
の2つについて説明します!
J-OSLERを進める上で、知っておくべき制度内容
そもそもJ-OSLERってなに?
という方へ、「新・内科専門医制度 研修手帳 (疾患群項目表)」には、こんな風に書かれています。
日本内科学会では,プログラムの研修状況を可視化して評価できるよう,初めての試みとして『日本内科学会専攻医 登録評価システム(J-OSLER)』を開発中である。専攻医は全国のいずれかの内科研修プログラムに登録後、その研修内容(主に症例経験)を Web 上の専攻医登録評価システムへ簡潔に登録し,指導医がそれを確認・評価する.この専攻医登録評価システムを用いることにより,専攻医,指導医,施設群におけるプログラム管理委員会,日本専門医機構内科領域研修委員会がそれぞれの立場で管理画面を確認することによって,プログラムの進捗状況を確認することができる.このことによって,プログラム内での研修状況を確認・評価することにとどまらず,全国的な研修状況を把握することも可能となり,プログラム達成に向けて支援や奨励に活かすことも期待できる.
要約すると、
指導医に評価してもらいつつ、Web上で症例経験を確認できるシステム
ってことです。
内科専門医を取るのに必要なこと
内科専門医を取るためにみなさんが最低限やるべきことは、J-OSLER以外にもあります。
専門医を取るのに最低限必要なものをリストアップしてみました。↓
①症例登録:専攻医2年目までに120症例、3年目までに160症例
②病歴要約:専攻医2年目までに29症例
③学会:発表(学会or論文)2回+年2回(3年で6回)学会に参加
④院内の講習会:年2回(3年で6回)参加
⑤JMECC:1回参加(初期研修中に参加していればOK)
その他、自己評価やプログラム評価など
③〜⑤に関しては、各自で忘れないように参加していただく他ないと思います。
①と②は、2-3年間かけて継続的にやり続けていくことになります。
①と②のWebシステムのことをJ-OSLERと呼ぶようですね。
J-OSLER≒症例登録+病歴要約
では、症例登録と病歴要約って似たような四字熟語ですが、それぞれ何を指すんでしょうか?
症例登録=症例の簡単なまとめとその感想
症例登録は、患者の病歴を500字以内でまとめ、感想文を300字以内で書くことを指します。
専攻医が終わるまでに160症例の登録が必要です。多いですね。
一例にかかる時間は、15分〜1時間といったところでしょうか。
書くポイントについては、こちらにまとめてます。↓
病歴要約=正式なフォーマットのレポート
病歴要約は、症例登録を行ったうち、29症例をピックアップしてさらに詳しいレポートを作る作業です。
症例について主訴、現病歴、検査所見、入院後経過、考察など記載します。
初期研修の時のレポートに近いですが、考察はより深い内容を求められます。
一例にかかる時間は速くて1-2時間、長くなると3-4時間以上といったところでしょうか。
指導医にチェックしてもらって訂正する作業もあるので、時間はそれなりにかかります。
J-OSLERを進めるにあたって準備すべきもの
さて、J-OSLERを進めていく上で以下のものを常に確認できるようにしておくべきです。
研修手帳
この手帳に「疾患群」なるものが載っており、症例登録していくときに参考になります。
印刷してもいいですが、データでもっておくのがおすすめです。
以下の公式ページからダウンロードできます。
病歴要約 評価の手引き
こちらは、病歴要約を作成する際に参考にします。
特に参考にするページはこちらです。
こちらも印刷してもいいですが、データでもっておくのがおすすめです。
僕は、メモアプリにこの手引のスクショを貼り付けて、どの症例を病歴要約にするか考えながらまとめてました。
こちらも公式ページからダウンロードできます。
退院サマリの担当患者一覧
みなさんの研修病院では、退院サマリから患者一覧を印刷することができるはずです。
それを手元に持っておき、症例登録を提出するたびにチェックするのがオススメです。
これは、どの症例を登録したか忘れないようにするために使います。
なんでこんな面倒なことをするのかというと、症例登録をしても指導医の承認が終わらなければJ-OSLERのサイト上での確認はできないからです。
内科専門医機構は「受け持ったらJ-OSLERに随時登録するように」としています。
しかし、言わずもがなですが、後期研修医は多忙です。
ただでさえ慣れない専門分野の診療を勉強していて、コロナが流行していて発熱外来の負担もある中で、のんびりと症例登録することができるでしょうか・・・?
少なくとも、余裕はない・・・
なので、時間をひねり出してどこかでまとめて症例登録するしかありません。
★漏れなく症例登録を行っていくための具体的な手順
①退院サマリから担当患者一覧を印刷
②時間が空いたときにまとめて症例登録
③登録が済んだ症例は、退院サマリの一覧にマーカーorチェックを入れる
こうすることで、後で見ても登録したかどうかすぐに分かる形になります。
注意点としては、患者一覧は個人情報なので、家に持ち帰らず、病院内で使うようにしましょう
病歴要約用のテンプレートを作る
病歴要約を作っていく中で面倒な作業の一つに検査結果の打ち込みがあります。
毎回単位を打ち込むのも時間のムダなので、テンプレートをWordなどで作っておくのがオススメです。
しかし、わざわざ空欄のテンプレートを作るのも手間なので、
まずは一つ病歴要約を作ってみる
それをテンプレートにして次の病歴要約を作る
という流れが良いかと思います。
1つめを作るのが一番大変ですが、早いうちに作っておくと後々で楽になりますよ。
ただ、そうは言っても1例目を作りあげるまでは、とてもしんどいはずです。笑
なるべく楽に1例目を作りあげるために、検査結果のテンプレートを作ってみました。
よければ参考にしてみてください^^
J-OSLER攻略のコツ【準備編】まとめ
今日のまとめです。
★内科専門医を取るのに必要なのはJ-OSLERだけではないので注意。
★症例登録と病歴要約が大きな壁。
★準備すべき3つ=①研修手帳、②病歴要約手引、③退院サマリの担当患者一覧
※余談ですが、初期研修医の時点からJ-OSLERを進めるべきか?という議論があります。
準備として症例登録用の文章や病歴要約を作成しておくべきか?ということですが、個人的には
★症例登録用の500字まとめくらいは作っておいてもいいが、必須ではないと思います。
なぜなら、字数制限やフォーマットが厄介で、一度しっかり作りこんでいても、大幅に後で書き直しになる可能性だからです。
あくまで個人的な意見ですが、初期研修中は、先のことを考えすぎず、初期研修でしかできないことをじっくりのんびり楽しむのが良いと思いますよ!
■おすすめの本
・J-OSLERをスムーズに進めるには、仕事のスピードアップが必須です。
・こちらの本は仕事の効率化に参考になるかもです。
J-OSLERを進める作業は本当にしんどいです。
こんなに忙しいのに・・・やってられるか!と思う気持ちはよーーーーく分かります。笑
しかし、後半に先延ばしにすればするほど、実臨床が楽しくなってくる学年になってもレポートを書くという雑務に追われる羽目になりますよね💦
計画的に進めて、さらっと乗り越えてしまいましょう!
●J-OSLERを進めていく上で、病院から家に参考書を毎回持って帰るのは大変です。
個人的に、参考書は電子書籍化をするのがおすすめです。
スキャナーと裁断機は以下の機種を使っています。
●こちらにJ-OSLERの基本〜内科専門医試験の攻略に至るまで、内科専門医取得に関わることを全て書いています。
●Twitterのみなさんと力をあわせて作った、内科専門医試験の復元はこちら
●専門医試験の合格体験記はこちら
参考になれば幸いです!
コメント