【周術期の透析管理】透析患者が外科手術をおこなう際に注意しておくべきこと

専攻医

透析患者さんが手術目的に入院になった。何に気をつければいいかな。

透析室の看護師さん

透析患者さんって、手術の直前と直後、どちらに透析したらいいのかな。

こんな人のための記事です。

透析患者さんが外科手術することになったら、透析スケジュールの調整が大変ですよね。

透析室のベッド状況を確認しつつ、気をつけるべきことをまとめてみました。

(新たな知見があれば追加予定)

目次

透析患者の周術期管理 術前の注意点は?

一般的な透析患者さんの術前の注意点は、以下の2点です。

①術前の管理目標を目指す

②術前透析と手術の日数を空けすぎない

①術前の管理目標を目指す

管理目標については、透析指導マニュアルに参考値が書かれています。

術後に問題となりやすいのは、高カリウム血症と溢水です。

コントロールが難しいのであれば、術前は透析時間を伸ばしたり、回数を増やしたりすることもアリです。

腹膜透析の患者さんであれば、バッグの交換回数を増やすのも手です。

また、たとえ、緊急手術であっても、病態が許すのであれば短時間でも術前透析を回すのが重要です。

ほかにも、貧血の管理、アシドーシスの補正はきっちりやっておきたいところです。

②術前の透析は、日数を空けすぎない

ときどき、「手術を月曜日にやりたいのですが、最終透析が金曜日(あるいは土曜日)でもいいですか?」という質問が他科の先生から来ることがあります。

結論からいうと、「オススメしない」です。

2022年のJAMAの論文によると、術前の場合は術前最後の透析と手術日をあければあけるほど、術後90日死亡リスクが高くなると報告あり、予後が悪いとされています。(JAMA. 2022 Nov 8;328(18):1837-1848. )

やはり、①でお伝えしたとおり、術前のコンディションを整えておくことは大切みたいですね。

では、「もしも術前の検査値をきっちりしておくのが良いのであれば、手術前日に透析を回すよりも、手術当日の午前に透析を回して午後手術にしたほうが良いんじゃないか?」という気にもなってきます。

ただ、現実問題、透析の直後は血圧低下することがあるし、抗凝固薬の暴露のため出血のリスクもあるので、よほど緊急でないならば当日透析より前日透析のほうが無難なように感じます。(このへんは人によって主張が異なるかもしれません)

おちば

UpToDateでは、術日のK>5.5なら、時間短めでもいいから透析回したほうがいいかも とのことでした。

透析患者の周術期管理 術後の注意点は?いつ回す?

術後の透析の注意点

術後の管理で重要なことは

①ナファモスタットなど出血しにくい抗凝固薬に変更

②ドライウェイトのギリギリを攻めない(すこし余す)

です。

①については、出血リスクが高いのでだいたい1週間程度でナファモスタット→ヘパリンに変えるイメージです。

②のDWを攻めないというのは、手術の影響で貧血になったり炎症が高い場合、血圧が下がりやすくなるからです。

以前の記事でも触れた、血圧低下の原因になりうる「三重苦」ってやつです。

術後の透析、翌日回すか2日目に回すか

指導マニュアルには、「術中の水分管理が適正であれば、術後2日めから開始する。」とあります。

ただ、そのすぐ後に「出血に問題なければ手術翌日で良い」とも書かれています。

実際問題、月水金クールで回している人を木曜に手術して、わざわざ金曜はスキップして土曜に回す みたいな話は聞いたことがないので、あまり気にしなくてもよいのかなと思います。

まとめ

●術前は、検査値の目標を達成をめざす

●術前は、前日か当日には透析を回す。日にちが空けば空くほど予後悪い

●術後は、DWをせめすぎない。ナファモスタットに変えること多いがアレルギーに注意

●術後は、翌日あるいは2日後に回す。

参考になれば幸いです。

■オススメの本

・血液透析について、(クセはありますが)分かりやすく語られている本です。

■関連記事

指導マニュアル、透析に関わるいろーんなことが書いてあるのでオススメ!という記事です。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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この記事を書いた人

アラサーの男性医師。内科専門医/透析専門医。腎臓内科として市中病院で勤務しています。
忙し過ぎる研修医〜専攻医を含め若手医師向けに、医師のキャリア・専門医試験/レポート対策・仕事のコツ・医学の勉強・資産形成などのお役立ち情報をまとめています。
仕事も家庭も大切にしたいと思うひとの力になれたら嬉しいです。
趣味は音楽、読書、公園巡り。

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