小説「君たちはどう生きるか」に学ぶ、医師が仕事する上で意識しておきたい4つのこと

専攻医

「君たちはどう生きるか」の映画、すごかったなあ・・・原作の小説はどんな話なんだろ?

専攻医

小説「君たちはどう生きるか」って、医師として働く上で役に立つ内容はあるのかな。

映画「君たちはどう生きるか」が人気です。

まったくCMをしていないにも関わらずSNSや口コミで反響が大きいようで、公開後1ヶ月の時点で興行収入が62億円、観客動員数412万人に達するほどの大ヒットしています。

映画だけでなく、この原作である吉野源三郎さんの小説「君たちはどう生きるか」も数年前から人気ですよね。

僕も映画を見に行った後、早速原作を読んでみました。

「名著」と言われるだけあって、それはもう色々と学びや発見の多い本で、しかも、非常に読みやすかったです。

今回の記事では、小説「君たちはどう生きるか」の概略を説明しつつ、医師としての目線でこの本から学べることを自分なりにまとめてみました。

すこしネタバレも含みますので、ご注意ください

目次

小説「君たちはどう生きるか」の概要

月, 夜, 月光, スペース, 宇宙, 夜空, 天国, 暗い, 厳しい, 神秘的

舞台は1937年の東京。主人公は、素直で勉強熱心な14歳の少年「コペル君」です。

父親を亡くしており、母親とその弟である「叔父さん」と一緒に暮らしています。

旧制中学二年(15歳)の主人公であるコペル君こと本田潤一は、学業優秀でスポーツも卒なくこなしていた。父親は亡くなるまで銀行重役で、家には女中ばあやがいる。同級生には実業家大学教授医者の息子が多く、クラスの話題はスキー場映画館銀座避暑地にも及ぶ。

コペル君は友人たちと学校生活を送るなかで、さまざまな出来事を経験し、観察する。各章のあとに続いて、その日の話を聞いた叔父さんがコペル君に書いたノートという体裁で、「ものの見方」や社会の「構造」、「関係性」といったテーマが語られる、という構成になっている。

Wikipediaより引用

「君たちはどう生きるか」を通じて学べる4つのこと

男, 書きます, 予定, デスク, ノート, ペン, 書き込み, メモを取る

医師の目線からみて、一読者としてこの本から学べること・モチベーションになったことをまとめてみました。

①日常体験を通じた疑問や教訓を大切にする

君が夜中に目をさまし、自分の疑問をどこまでも追っていった、あの精神を失ってしまってはいけないのだよ。

引用元:「君たちはどう生きるか」p96

コペル君は、自分の実体験を通して疑問を抱き、自分なりの答えを出してそれを叔父さんと共有しながら学んでいきます。

この章では、ニュートンが重力の発見をした話をきっかけに、自分なりに考えた「人間分子の関係、網目の法則」を見つけます。

叔父さんは、その法則は、実は「生産関係」という名前が既に学者によってつけられていることを伝えます。しかし、自分なりに考えて一つの仮説にたどり着くことは決して簡単なことではないこと、そうやって自分なりに考える時間が重要であることをノートを通じてコペル君に伝えます。

医師として働く中でも、ある程度の知識や原則は暗記することは大切ですが、日頃の疑問を答え合わせする(あるいは答えがなくても、どこまでが一般的にコンセンサスがあるのか知る)ためには、自分なりに調べたり仮説を立てることが重要です。自分で調べて分からなければ、人に聞くことも重要です。

自分なりに感じた疑問点や仮説は、学ぶための切り口になるので、いわば「ダイヤモンドの原石が入った宝石箱」みたいな状態だと個人的には思っています。

しかし、調べたり考えたりすることを後回しにして鍵をあけずにおくとあっという間に他の仕事によって埋まってしまい、気づけばどこに行ったかわからなくなってしまう…という経験をした人は少なくないのではないでしょうか。(僕もやってしまいがちですが…)

こういった自分の疑問をキチンと整理して解決することを大切にしたいです。

②考えつくだけでなく、最後までやりきること

ニュートンが偉かったのは、ただ、重力と引力とが同じものじゃないかと、考えついたというだけじゃあない。その思いつきからはじまって、非常な苦心と努力とによって、実際にそれを確かめたというところにあるんだ。これが、普通の人にはとてもできないようなむずかしい問題だったのだね。

引用元:「君たちはどう生きるか」p81

①での疑問の解決の話に通じる話ですが、何年か医師として働いていたら、臨床疑問を抱く頻度は結構増えると思います。

これってこうしたらいいかもな、というプラクティス的なものや、この検査ってどのくらいの頻度でやるべきなのかな、みたいな素朴な疑問とか。

これらを1つ1つきちんと解決して、当たり前のことをきちんと最後まで追求しきることって、意外と難しいんですよね…

疑問が生じたら、なるべくその場で調べられることは調べて、答えがどうしても出ないなら、指導医や専門医に質問したり、スキマ時間で調べたりして、疑問を追求することを大切にしたいですね。

また、貴重な症例があった場合は、そこで診療して終わりにするのではなく、学会発表や症例報告などで世間に還元する姿勢を大切にしたいです。

とにかく、行動あるのみですね。

③得られた知識や発見を、クリニカルパールとしてまとめる

ただ、君に考えてもらわなければならないのは、本当に人類の役に立ち、万人から尊敬されるだけの発見というものは、どんなものか、ということだ

引用元:「君たちはどう生きるか」p81

臨床をやっていくと、経験を通じて臨床疑問を思いつくことがあります。

ただし、それらは玉石混交で、最初はその形だと使えるものか使えないものかよくわからないものもあるんですよね。

また、片っ端から調べていこうとすると、時間がかかりますし、どこまで意味があるかわかりません。

さきほど①で「ダイヤモンドの原石の入った宝石箱」と表現したのもそういう理由です。

これらの臨床疑問をもとに、重要性が高いと考えられるものを選りすぐりして、それを実用性が高く使いやすい形にブラッシュアップして「使える」形の知識としてまとめること。(一般的に「クリニカル・パール」と言われてるやつです)

ここまでやりきることで、他人のためだけでなく自分のためにもなります。

おちば

X(旧Twitter)などで、自分の知識をクリニカルパールという形で他人でも使いやすい形に磨いてアウトプットするのがおすすめです。(僕もまだまだ修行中です…!)

なお、腎臓内科の分野だけでいえば、X(旧Twitter)でTT先生(@TT58852391)や、Ryu先生(@Ryu04196650Ryu)、だるべ先生(@Darbepoeti_n)など、非常にタメになるツイートをしてくださっています。

腎臓に興味のある方はフォローしてみてもいいかもです。

④どれだけ偉くなっても、謙虚に

英雄とか偉人とかいわれている人々の中で、本当に尊敬が出来るのは、人類の進歩に役に立った人だけだ。そして、彼らの非凡な事業のうち、真に値打ちのあるものは、ただこの流れに沿って行われた事業だけだ。

引用元:「君たちはどう生きるか」p192

最後は、すこし①〜③とは毛色が違いますが…

まだまだ専攻医の分際で大きいことは言えませんが、専門医の資格を持っているにも関わらず学ぶことをやめてしまった上級医や、過去の研究などの実績にしがみついてずっと偉ぶっている大学病院の上級医は、一定数います。

専攻医や研修医など若手医師に仕事を押し付けつつ、一方で自分はダラダラ説教したりロクに仕事をしなかったり…

あるいは、逆に熱心すぎるがゆえに、部下の診療に過剰に介入して職場環境を悪くしてしまっている先生も見受けられます。

過去にどれだけ凄い臨床研究したとか、今現在もの凄いポストについていたとしても、結局いま現在、その人の行いが周りのためになっているかどうかっていうのが重要だとこの本にはありました。

ナポレオンも一国を立ち上げるという偉業を成し遂げるまではカッコいいのですが、ロシアに出兵したあたりから余計なことして失わないでも良いはずの命を失ってしまっていましたし、日本史でいうと豊臣秀吉とかも、天下統一したものの朝鮮に出兵したあたりで「なに余計なことしとんねん」っていう感じになってましたよね。多分。

歴史上の話はともかく、医師の界隈においても、もちろん本当に凄いし尊敬できる上級医もいっぱいいるんですが、過去の栄光にしがみつく系医師にならないよう、常に向上心を忘れずにいたいものです。

おちば

自分は(そもそもしがみつけるような大きな実績はないですが、それでも)自分の周りのスタッフや患者さんとの関係を大切にしつつ、ブログの読者さんに還元できることはできるだけ還元していきたいと思っています。

まとめ

「君たちはどう生きるか」を読んで、学んだことをまとめてみました。

重要な点としては、この本は、「どう生きていくべきか」の明確な答えは用意されていません。

そのため、どう解釈するかは人によると思いますし、得られる知見も人によって異なる面白さを秘めていると思井ます。

とっても読みやすい1冊なので、是非ご一読ください(^^)

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この記事を書いた人

アラサーの男性医師。内科専門医/透析専門医/腎臓専門医。
腎臓内科医として市中病院で勤務しています。
忙し過ぎる研修医〜専攻医を含め若手医師向けに、医師のキャリア・専門医試験/レポート対策・仕事のコツ・医学の勉強・資産形成などのお役立ち情報をまとめています。
仕事も家庭も大切にしたいと思うひとの力になれたら嬉しいです。
趣味は音楽、読書、公園巡り。

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