【若手医師必読】医局をやめるか悩んでいる人にオススメの本5冊を紹介

専攻医

医局以外で働く方法もあるとは思うけど、一歩を踏み出す勇気が出ないな…

専攻医

医局をやめたい…けど、他の医局員や教授からなんて言われるか想像するだけで胃が痛い…

こんな人のための記事です。

医局で急性期病院を中心とした医局人事で仕事をすることは、自身の診療のスキルアップにはもってこいな環境である一方で、結婚・出産などライフステージの変化によってそれが逆に足枷になっている若手医師は多いと思います。

専門性を深めることを取るか、自身のプライベート・家族との時間を充実させるか、どちらを取るか、とても悩みますよね。

僕自身も非常に悩みまくっていたので、色々な人に相談したり、情報収集を行いました。

おちば

結局、医師8年目にて医局をやめる選択を取りました。

リアルでフリーランスの先生に会って相談したり、ツイッターで相談したり、「医局やめた」系のブログを参照したり・・・

そんな中で、たくさんの本も読みました。

今回の記事では、医局をやめるかどうか悩んでいる人に向け、自分の価値観をハッキリさせたり、医局を辞めたあとどうなるだろうか?ということを考える上で、参考になった本を紹介します。

目次

医局をやめるか悩んでいる人にオススメの書籍5選

①フリーランス医師の作り方 絶対にフリーランス医師として成功するための解説書

有名ツイッタラーの「おると先生」が書かれた本。具体的にどんな手順でフリーランス(医局フリー)になり、転職していくかを知ることができる1冊です。

おると先生は、名前の通り整形外科の先生で、10万人以上のフォロワーを持つツイッターアカウントを持っています。

一般の方向けに非常にわかりやすい情報発信をしていることで有名ですが、この先生は実はフリーランスで働かれています。

  • 具体的にフリーランスになるには何をすれば良いのか?
  • 転職活動に当たって注意すべきポイントはなにか?
  • 内定書でチェックすべきポイントは?

など、具体的な内容がもりだくさんです。

医局を辞めたいと思っているが、何から始めればいいか分からない…という方は、この本を読むことで、フリーで働くイメージがつくようになると思います。

僕は医局という制度に疑問を抱きはじめた頃にこの本を手に取りましたが、成功例の一つとして非常に参考になりました。

特に、おると先生が提唱する「ゆったりとした非常勤と、忙しめな非常勤をうまく組み合わせることで、自分の求める働き方を実現していく」という方法には驚きました。

おちば

おると先生を参考に、僕も医局を辞めたあとの働き方は「週4常勤+週1定期非常勤」を予定しております。

②嫌われる勇気

言わずとしれた名著中の名著。「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」「課題の分離」「承認欲求を否定する」「普通であることの勇気」など名言がたくさん。医局を辞めるか悩んでいる人のマインドブロックを解除してくれる1冊です。

2冊目は、「嫌われる勇気」です。

「アドラー心理学」を、日本人向けに対話形式で学べる1冊となっています。

一般的には自己啓発本として知られていますが、医局をやめるかどうか悩んでいた自分にも非常に響く内容でした。

多くの若手医師にとって、医局をやめる上で悩む一番大きいポイントは、ズバリ「周囲との人間関係がどうなるか心配」という点かと思います。

  • 医局を辞めると上司に伝えたらどう思われるか…
  • 『ドロップアウト医』としてバカにされないだろうか…
  • 色々と教えてもらった指導医からの期待に答えられなかったことになりガッカリさせてしまう・・・

などなど。

でも、そういうときは他人からの承認欲求を捨ててしまうと楽になると、この本には書かれています。

「あなたは他者の期待を満たすために生きているのではないのです。…(中略)…他者の期待など、満たす必要はないのです。」

「他者からの承認を求め、他者からの評価ばかりを気にしていると、最終的には他者の人生を生きることになります。」

出典:嫌われる勇気 第三夜 承認欲求について p135

これは、医師の働き方についても言えます。

急性期病院で医局人事でバリバリに働くことは、カッコいいです。

誰からも批判されることはないですし、上級医から褒められたり学会発表で称賛されたり・・・

仕事がハードなため大変なことは多いですが、目に見える形で承認欲求を満たされやすい環境だと思います。

一方で、医局をやめてから働く病院の多く(慢性期病院やクリニックなど)ではそういったアカデミックな派手さはありません。

そこで求められている仕事をして、仕事に見合った報酬を貰うのみです。

でも、それは決して悪いことではないはず。

自分が「今、他人のために働けている」と感じられることをしていれば、美容でも訪問診療でも急性期病院でも慢性期病院でも、どこで働こうが一緒です。

もちろん、誰よりも優秀な医師になりたい!という思いがある人は自分の信念に従って頑張るのはアリですが、自分が別にそれを求めていないのに他人から強要される(かつ、それができなければ否定される)のは、、、ちょっとお門違いですよね。

自らの生について、あなたにできるのは「自分の信じる最善の道を選ぶこと」、それだけです。一方で、その選択について他者がどのような評価を下すのか。これは他者の課題であって、あなたにはどうにもできない話です。

出典:嫌われる勇気 第三夜 課題の分離について p147
おちば

最終的に、何事も自分の捉え方しだい。「医局でトップを目指さなくても、家族と楽しく過ごせるなら、普通の医師でもいいのかも」と思えたのはこの本のおかげです。

③LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略

人生100年時代に、どういう戦略で生きのびていくのか、ライフステージごとに働き方や生き方を自分の手でアレンジしていくことの重要性を学べます。

3冊目は、LIFE SHIFT。こちらも有名なベストセラーです。

現代は、よくVUCA(Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの単語の頭文字をとった言葉)と表現されます。

たとえば、初代iPhoneが登場したのは2007年。それからわずか10年ちょっとで現代はスマホを持っていない人はいないと言えるレベルまで広まっています。

最近では、ChatGPTなどのAIの出現、COVID-19の流行など、様々な事件が起きて色々な仕事に影響が出ていますよね。

こんな、いわば「わけわからん時代」に、一つの会社(医師で言うならば医局)に守ってもらいながらそこで得たスキルのみで60歳まで生き延びようとすること自体、普通に考えて難しいでしょ!というのがこの本のメッセージになります。

色々な新しいことに挑戦したり、学んだりすることで、自分を変身させようとする考え方や能力を本書では「変身資産」と表現されており、形のない資産の一つとして重要と述べられています。

100年ライフを生きる人たちはその過程で大きな変化を経験し、多くの変身を遂げることになる。そのために必要な資産が変身資産だ。自分についてよく知っていること、多様性に富んだ人的ネットワークをもっていること、新しい経験に対して開かれた姿勢をもっていることなどが含まれる。

出典 LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略 第4章 見えない「資産」-お金に換算できないもの

最近は、医師の中でも企業している人や、医師Youtuberなども増えてきていますよね。

「医師×〇〇」と別分野と掛け算して仕事を作り出し、人のためになるサービスを必死に考えている人がいっぱいいます。

決して全ての医師が起業すべき!とは思いませんが、そんな世の中で「医局」という鎖に繋がれて、自由にバイトすらさせてもらえない環境に残らされるのは、どちらかというと不利だと思います。

(もちろん、中には自由にバイトや副業をしていいよ、という優しい医局もあるようですが、少数派です…)

また、この本では、自分のスキルアップのために転職や働く場所を変えることだけでなく、家族との関係も踏まえて仕事にブレーキをかける時期を作ることも一つの選択肢として挙げています。

たとえば、

①独身・子供のいない時期は、ハードな急性期病院など専門医取得・スキルアップできる職場へ就職

②子供が産まれて小さいうち(小学校くらいまで)は、育児家事のため、ゆとりのある職場へ転職

③子どもが手を離れたら、再び急性期病院や自分のやりたいことを追求できる職場に転職

などです。

もしも読者の方が男性医師で奥さんと共働きの場合、奥さんの職場の忙しさに応じて自分も仕事の忙しさを調整することも選択肢になります。

特に、日本の医師の場合は「急性期病院より医局以外の病院のほうが収入が良くなる」というバグが発生している環境が続いているので、現時点では(専門医取得やスキルを身に着けた後も)医局に属し続けることについて、金銭的・時間的メリットは減ってきてるように感じます。

おちば

僕は、妻の職場が忙しくなったこと、妻が社会人をしながら通信制の大学に入学したこと、子どもがまだ小さいことから、医局をやめ、あえて急性期からやや慢性期病院寄りに変えることにしました。今後、妻や子どもの環境の変化次第で働く場所を再度変えることも考えています。

こんなふうに自由に働く場所を変えていけるのは、医師免許(+専門医の免許)がある特権だと思います。

④医良戦略2040 2040年の医療を生き抜く13の戦略

2021年度に千葉大学医学部附属病院の次世代医療構想センターがおこなった「次世代医療クロストーク」という講演会で登壇した13の登壇者の話を文字に起こしたもの。最前線の救急医から医療界に切り込んでいる企業の会社の取締役まで、幅広い視点から次世代の医療について述べられている1冊です。

医良戦略は、これまで挙げてきた本とは異なり、情報量とそのジャンルの幅広さが段違いな1冊です。

これを僕が手に取ったのは医師6年目。

純粋に「今後の医療はどうなるんだろう?最前線の人たちは何を考え、どう動いているんだろうか?」を少しでも知りたいと考えたからです。

特に僕は、医局を辞めるに当たって

「急性期病院で働き続ける必要がどこまであるのか」

「急性期病院でのスキルはどこまで将来的に必要なんだろうか」

といった点が不安でした。

要するに、慢性期病院で働くことで急性期病院での診療のしかたを忘れると、食いっぱぐれることになるのではないかという不安です。

これについては第3章の「求められる人材として生き抜くための戦略」にたくさんのヒントがありました。

2つ以上の専門性の交差領域を追求してみる、そして可能であれば国や地域、業界、セクターを超えた異分野の経験があると、より発想、行動の幅も広がる。そしてそのような経験があると、仕事の幅も格段に広がってくると思います。

出典 医良戦略2040 p158

日本の医療は「病気治し」(=急性期医療)から、徐々に「予防医療」に力を入れる段階に来ているといいます。

今後は、医療の集約化が進むと思われ、高度医療が必要な病院は一部へ集約化され、中途半端な規模の病院は慢性期病院へ移行していくとされています。

つまり、「高度医療を行う病院ばかりが必要な状況ではなくなるであろう」ということが予想されます。

自分は、ずっと高度な急性期医療に関わりたいわけではないのでむしろ予防医療を深めて自分のスキルとして身につけていきたいと思っていたので、これは朗報でした。

おちば

医局を辞めて何もできなくなるのではなく、腎臓内科という専門性を持ちつつ、予防医療・総合診療をきちんと学んだ医師になりたいと考えています。

各登壇者の先生が様々な視点から最先端の話をされているので、ぜひ読んでほしい1冊です。

⑤死ぬ瞬間の5つの後悔

オーストラリアで緩和ケアの介護を長年勤めた方の記録。多くの患者を看取った経験をブログにしたものが世界的に有名になり本となっています。死ぬ前に人が何を感じているか、リアルに描かれています。

最後は、死ぬ瞬間の5つの後悔です。

こちらも有名な1冊で、死ぬ直前に多くの人が後悔していることについて5つをピックアップして様々な登場人物(亡くなる前の患者)を取り上げています。

専攻医

家族と過ごす時間が多いほうがいいとはいえ、仕事が忙しいからなあ…

そう思う人は多いと思います。

自分も以前は

●医師として働く以上、9時17時なんて言語道断!

●医師として一人前になるためには、時間外まで働くことを嫌がっていてはいけない!

●命を扱う仕事なのだから、家族と過ごす時間なんて後回し!

そんなふうに考えた時期がありました。

そういった態度は、仕事の経験値を稼ぐには間違いなく効率は良いです。

努力を続けることで、上級医から褒められ、後輩医師から尊敬され、学会発表で優秀賞を取り、論文で世に名を残すことができることがあるかもしれません。

「デキる医師」としての称号を得ることで充実感が得られることでしょう。

しかし、(あえて極論になりますが)それらは自分が死ぬときには、どこまで価値があることなのでしょうか?

この「死ぬ瞬間の5つの後悔」には、こんな一節があります。

「私は仕事がとても好きだったよ、もちろん。それに地位もすごく気に入っていた。けれど、今となってはそれが何になる?私は人生で本当に自分を支えてくれたものに十分な時間を費やさなかった。・・・(中略)・・・私は怖かったのだと思うよ。そう、怖かったんだ。怯えていた。ある意味、地位が私の価値を決めていた。もちろん、こうして死を控えてここに座っている今は、良い人間でいることだけで、人生には十分以上だと知っている。我々はなぜ、物質的な成功で自分の価値を測ろうとするのだろう?

出典:ブロニー・ウェア「死ぬ瞬間の5つの後悔」

この登場人物の男性は、仕事で成功したものの、仕事引退の3ヶ月前に癌で奥さんを亡くしてしまいました

その男性の奥さんは、数年間、「一緒に海外旅行にいきたい」と話されていたようですが、男性は仕事が忙しいことを理由に、引退後にね、と後回し後回しにしていました。

しかし、その旅行は、奥さんの癌の発覚、体調不良、そして死により叶わぬ夢となってしまいました。

時が過ぎて、その男性に死期が迫った場面で感じていたのは「仕事を長いこと頑張ってよかった」という満足感ではなく、「家族ともっと旅行に行ったり時間を共有したりすべきだった」という後悔だったようです。

「より良い暮らしを求めるのは悪い事ではない。誤解しないでほしい」彼は続けた。「でもさらに上を求め続けることになるし、自分を業績や持っているもので判断したいという気持ちの表れだから、結果的に愛情とか、自分が本当に好きなことをする時間とか、自分の人生のバランスなど、本当に大事なものから離れていってしまう。きっと大事なのはバランスだ。そうじゃないかな?」

出典:ブロニー・ウェア「死ぬ瞬間の5つの後悔」
おちば

この本を読んで、「たとえ明日死んだとしても、家族ともっと過ごせばよかったと後悔しないような人生を生きたい」と感じるようになりました。そのためには、医局をやめてフリーランスとして働き方を調整していこうと決意しました。

医局をやめることを考え始めたら

おちば

もしも医局をやめて転職活動を始めようと思ったら、知り合いのツテを探すのと同時に、まずは転職サイトに登録するのがお薦めです。

まずは1社登録してみればOK

転職サイトはいくつかありますが、まずは1社だけ登録して相談してみるのがオススメです。

個人的には「医師転職ドットコム 」が一番良いと思います。

医師転職ドットコムをおすすめする理由

・30000件を超える求人案件がある

・営業拠点が全国に7ヶ所あり、扱っているエリアが広い

・エージェントさんが優しいし仕事が速い

おちば

早めに登録しておいて、求人情報をエージェントさんに送ってもらうだけでも相場感がわかるのでオススメです。

医師の転職なら「医師転職ドットコム」

本格的に転職を考えるなら、2-3社に登録を。

ちなみに、もしも来年度、再来年度など、近いうちに転職を考えているのであれば、2-3社の登録をしておくほうがおすすめです。

どれだけ良い転職会社と言われていても、転職エージェントさんとの相性は人によって異なるからです。

電話での態度はもちろん、求人情報をメールで提供してもらうだけでも内容の詳しさや自分の求人条件へのマッチ具合など会社によっても違いがあります。(経験談)

2社以上を選ぶ際も、あまりマニアックな会社ではなく、大手が安心です。オススメは以下の通り。

おすすめサイト特徴
【リクルートドクターズキャリア】 希望する働き方や目的をきちんとヒアリングし、求人の傾向や相場などを踏まえて転職先をオススメしてくれる
【マイナビDOCTOR】 様々な医療系の人材紹介サービスを展開しており、医療機関と結びつきが強いため、求人の種類が多い。
【民間医局】大手中の大手。毎日1000件以上の求人を更新しているので選択肢が多い

転職はリスクだが、転職活動はノーリスク」という言葉があります。

実際に僕は転職の2-3年前くらいからサイトへの登録をして、情報収集を続けていました。

転職活動は時間がかかったり、なかなか内定にたどり着かず大変なこともあるかと思いますが、必ず最後には求める条件・内容の働き方の病院は見つかるはず。

じっくり取り組んでもらえたらと思います。

まとめ:医局をやめるか悩んだら、読書をしながら情報収集を。

インターネットが発達した現代ですが、きちんと情報がまとまっていること、情報のクオリティが高いことなどから、読書は情報収集の手段として欠かせないと感じます。

医局をやめるかどうか、一人で思い悩んでいても事態は変わりません。

色々な人に話を聞きつつ、上に挙げたような本を読んで自分の人生についての価値観をハッキリさせていくことができたら、スムーズに進められるかもしれません。

少しでもみなさんの参考になれば幸いです。

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専攻医になって、出産育児を経験して考え方がかなり変わったと実感しています。

自分がどう生きていきたいか、価値観をハッキリさせておくことが重要だと感じます。

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この記事を書いた人

アラサーの男性医師。内科専門医/透析専門医/腎臓専門医。
腎臓内科医として市中病院で勤務しつつ、フルタイム妻と一緒に実家遠方子育て中。(育児休業後)
忙し過ぎる若手医師向けに、医師のキャリア・専門医試験/レポート対策・仕事のコツ・医学の勉強などお役立ち情報を発信しています。
医師として頑張りたい、けれど家庭やプライベートも同じくらい大切にしたい!
そんな人の力になれたら嬉しいです。
趣味は音楽、読書、公園巡り。

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