【男性医師の育休】育休を取ったら夫婦関係がよくなった理由を考えてみた

研修医

知り合いの先生から、育休とったら夫婦がますます仲良くなったって聞きましたけど、なんでですかね?

男性医師

そんなこと知らんな!そもそも俺は結婚してから今に至るまで夫婦関係は良好だから、子どもが生まれても育休なんて取るつもりはないよ!

専攻医

・・・ほんまかいな

男性が育児休業を取るメリットとして「夫婦関係がよくなる」ことがよく指摘されています。

しかし、実際になぜ育休を取るだけで夫婦関係が良くなるか、イメージが湧きにくい方も多いのではないでしょうか。

そもそも、子どもが生まれるまでは、上の男性医師のように「ウチはすでに夫婦関係が良いから、別に取らなくても良いのでは?」と思う方もいるかもしれません。

しかし、こちらの図を御覧ください。

ご覧の通り、彼氏・夫への愛情は、出産直後に激減します。(出産後に急にお互いへの愛情が急激に冷めて夫婦仲が悪くなることを、「産後クライシス(危機)」と言います。)

その後、回復グループになるか低迷グループになるかによって、むこう数十年の夫婦関係が決まってしまいます💦

専攻医

お、恐ろしい・・・!

実は、出産し育児をしていく中で「離婚が頭をよぎった」女性は約半数にのぼるとされています。1)

・・・2人に1人ってめちゃくちゃ多くないですか??それだけ新生児〜乳児の育児はハードなんです。

そのため、夫婦関係の悪化を防ぐには、育児に手がかかる時期に夫がどれだけ関わっていたかが重要になってきます。

そこで有効なのが、育児休業です

今回の記事では、育児休業に興味がある人に向けて

  • 育児休業を取ることで、なぜ夫婦関係がよくなるのか?

を、育児休業を実際に取得した僕が解説します!

目次

①育休を取ることで、妻の精神面のサポートができる

「育児」「育児休業」と聞くと、

  • 可愛い我が子とゆったり触れ合う
  • ゆっくりとした時を過ごす贅沢な時間
  • 仕事から解放されて、ゆったりのんびり

そんなイメージの男性は少なくありません。

しかし、実際は全然違います。

子供が生まれて初めて気づくのは、「育児が精神的にめちゃめちゃキツい」という事実です。

産後に精神的にしんどくなる理由は大きく3つあります。

①睡眠不足

産後しばらくは、子の睡眠時間はかなり不安定で、夜中に頻繁に起こされることもしばしばです。

医師の仕事で例えるなら、24時間当直を親で交代制で半年〜1年くらいやる状態になります・・・

こどもが泣く度に授乳するか、おむつをかえるか、抱っこしなければなりません。

妻は、授乳の時間の間は寝ることができません。

赤ちゃんは一度目が覚めてしまうと、寝付くのがなかなか難しいこともしばしばです。

②ホルモンバランス

出産後、母親にはホルモンバランスの不調が降りかかります。

生理が来なくなるから安定する、なんてことはありません。

子宮復古のため体の中で毎日のように体の中で変化が起きています。

③孤独

子が生まれてわかったのですが、育児は思っている以上に孤独な戦いです。

生まれた前後は、病院にお見舞いに来てくれる人がいたり、お祝いに来てくれる人がいるため孤独を感じることもありません。

しかし、数ヶ月たつと、来客も少なくなります。

家では子と二人きり。

自分の失態があればすぐに消えてしまいそうな、か弱い命を守りたい一心でネットをしらべながら不安の中で一人で戦う経験は、実に過酷です。

専攻医

こどもが産まれたら、ママ友とかできるんじゃないの??

そんな父親の声が聞こえてきそうですが、産後すぐは母親の体力が戻っていないし、子どもも小さいと外出が難しいことが多く、結果としてママ友をすぐに作るのは難しいことも多いようです。

また、2023年春時点でだいぶマシにはなってきていますが、わが家はコロナ禍の中での出産だったためどこの施設も会いていなくて家とスーパーを行き来するのみの生活をしていました。

過酷な環境で発症してしまう「産後うつ」や「産後クライシス」

こういったメンタルがきつい中で問題となってくるのが、「産後うつ」のリスクです。

産後うつは30-50%の産後女性が経験している2)とされており、かなり頻度は高いと言われています。

研究によりまちまちですが、産後1ヶ月で54%、5-12ヶ月で6%という研究2)があります。

産後1ヶ月でも産後1年でも同程度の頻度で起こりうるという研究3)もあります。

おちば

いずれにせよ、産後は、いつでもうつになるリスクがつきまとっているんだね・・・

産後の女性の死因の第1位は「自殺」であり、産後うつとの関連が指摘されています。4)

精神面での不安定は、産後の夫への絶望・関係の悪化(産後クライシス)へつながり、冒頭で話したような愛情曲線の「低迷パターン」につながる恐れがあります。

妻の「ひとり時間」を作るために、夫婦での育休取得を

産後の母親をとりまく環境は非常に厳しいです。

夫としてできることは様々ですが、例として以下のようなことができると考えます。

●妻のストレスになること(家庭の状況を無視して飲み歩く、仕事ひとすじで家事育児を全て任せるなど)をしない

●育児・家事に参加することで、妻の精神的・肉体的負担を減らす

●しんどさへの共感(話を傾聴する)

●子どもを見ておくことで、妻が一人でゆっくりできる時間を作る

上記を行動するには、育児休業をとってしっかりと育児に夫が100%集中できる環境を得ることが重要だと思います。

当直の翌日がしんどいと言っても、その当直のあいだも妻は子どもをお世話してくれています。

自分の残業は妻の残業時間、いわば交代の来ない救急外来の当直をさせられていると考えて、なるべく交代する気持ちでいるのが大切なように思います。

育休を取得→妻の精神面(+肉体面)のサポートができる

②育休を取ることで、夫が育児・家事に主体的になる

育児休業を取得することで夫婦関係が良くなる理由の2つめは、育児家事に積極的になることです。

家事は、ストックの場所を把握することから始まる

突然ですが、父親のみなさんに質問です。

洗剤や食材などのストックはどこに置いてありますか?

専攻医

えーーーっと、確か妻があのへんに・・・あれ、どこだっけ?

少なくとも僕は育休を取るまでキチンと把握しきっていませんでした。。。

ストックについては一例ですが、家族によって環境が異なることは多いとは思いますが、妻が家事をある程度分担している場合、いざ自分が家事育児をしないといけなくなった際に何も力になれないリスクがあります。

妻が積み上げてきた家事スキル、夫には全くないことも

なんとなく家事をきちんとやっている妻と、とくに家事をしていない夫では、その効率や遂行度は大きく異なってきます。

育児については母親は自分の身体に変化があるため実感が湧きやすいものの、父親はなかな実感が湧きにくい印象です。

僕も、あまり自分ごととして捉えられていなかったように思います・・・

その結果、夫は妻から家事育児をするように「指導」される立場になってしまうことが多いです。

夫は、妻から言われすぎるとやりたくなくなる

もともと妻が家事をある程度している環境であればあるほど、夫が育児や家事に主体的になるのは簡単ではないと思います。

中途半端に家事育児をしようとして、もともと主体でしていた妻にダメ出しを受けたりすることになります。

おむつの替え方、寝かしつけ、離乳食の上げ方など・・・

しかし、ダメ出しを毎日受けて楽しい人はこの世にはいません。(一部の例外はいるかもしれませんが)

ダメ出しがきっかけで「育児に手をださない」という姿勢になってしまうと、ますます育児をすることに対して億劫になってしまう男性もいるはずです。

あき

最初の方は夫にちゃんと伝えていたけれど、あまりに言いすぎて夫が不機嫌になったり雰囲気が悪くなったりするのがいやだから、あえて言わなくするようになった、という奥さんの話も聞いたことがあるよ。でも、それってもったいないよね・・・

育休は、家事・育児の当事者意識を強めることができる強化月間

このように、家事育児をスムーズにできるのは難しい家庭も多いですが、育児休業を取ると、一定の時間、仕事にとらわれず育児・家事に専念する期間ができます。

それにより、育児・家事が他人事ではなく「自分のすべきこと」と明確に役割分担されます。

育児家事について、いちど当事者意識を持って接することができるようになれば、その後もモチベーションが上がりやり方も学ぶことができますし、積極的に育児へ参加するきっかけになります。

研修医

主体的に家事育児をするって、当たりまえのようで意外とできていないこともあるもんね

夫婦で仲良く家事育児を分担できるようになれば、夫婦関係がよくなることは間違いありません。

育児休業を取ることで、夫が育児・家事に主体的になる

③妻の仕事復帰を早められる

共働きの場合、育休のとり方によっては妻の職場復帰のタイミングが早められることは重要だと考えています。

妻が子どもと一定の距離をおき社会生活を送ることができる

我が子とずっと一緒に生活していた状況から離れると、子に合わせた生活リズムから開放されるため、精神的に楽になります。

また、毎日のルーチンワークから開放され、「仕事をする」という刺激を受けることで日々に変化が出るのが新鮮で楽しくなります。

多少の仕事上のストレスはあれど、職場の一員として働けば、育児中に生じた「孤独感」も早めに払拭できます。

仕事から離れる期間が減り、復帰がスムーズになる

仕事から離れる期間があると、どうしても職場での仕事内容、周囲の人間関係は変化してしまい、いわば「浦島太郎状態」になってしまいます。

休職期間が長ければ長いほど、そのギャップは大きくなってしまいます。

なるべくストレスなく復帰するためにも、早めの復職をすることは重要だと思います。

家族計画の柔軟性が出てくる

職場へ復帰した後、半年〜1年でまた産休にはいる、というのはなかなか抵抗があります。

しかし、育児休業が長くなりすぎると、その後の年齢のことを考慮すると、やむを得ず早めの2人目妊娠も選択肢となります。

せっかく復帰したのに、またすぐに休みに入ると、奥さんは長期間仕事に関われない期間ができてしまうと、キャリア形成は難しくなりますよね。💦

結婚の年齢がただでさえ上がっており、高齢出産のリスクが懸念される女性も多いです。

こういった状況では、家族計画を断念することもあるでしょう。。。

しかし、夫が育休を取得して早めに妻が仕事に戻れる環境を作れば、柔軟な家族計画が考えられるでしょう。

男性が育休を取ることで、妻が仕事に早く復帰できる

まとめ:男性の育休で、夫婦の関係がよくなる

育児において、出産や授乳など、母親にしかできないことはありますが、同時に父親に出来ることも多くあります。

育児はハードです。その辛い経験も「チームとして」夫婦で戦うことにより、子が巣立ったあとまで続く二人の関係を良好にすることができるはず!

(もちろん、育休は取得するだけでなく、その後の生活態度も大切と思いますが・・・!)

人生百年時代と言われる現在、妻と過ごす時間は何十年となるでしょう。

そんなパートナーとの何十年間の関係性を、育児に参加する数カ月間でよりよいものに出来るのであれば、それは今後の人生そのものを豊かにする育児休業の経験は、決してコスパの悪くない自己投資だと思います。

おちば

ぜひ、男性医師のみなさんも、育休の取得を考えてみてください!

■おすすめの本

・パパが育休とってみたら妻子への愛が深まった話

教師をしながら漫画を書いているという珍しい経歴の方の本です。

育児休業を取得することで、様々な気付きがあり、妻への愛が深まったという話です。

とっても癒やされる漫画で、本の中で出てくるこどものエピソードが可愛いです。笑

育休を取ってみたいという興味のある方はぜひ!

・関連記事

育児がしんどいなら、無理をせず休みましょう。

もしも「家庭より仕事を優先しろ」という上司がいるのならば、その職場は変えどきなのかもしれません。

転職を含めた何らのアクションをとるのがおすすめです。

引用文献

1)【東京すくすく】「産後クライシス」夫婦仲の悪化を防ぐには? 夫は「一番大変な3カ月」を逃すな!

2)Up To Date:Postpartum unipolar major depression: Epidemiology, clinical features, assessment, and diagnosis (2020年11月)

3)東北メディカル・メガバンク機構https://www.megabank.tohoku.ac.jp/activity/result/sango

4)国立成育医療研究センター調査(2015~16年)

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この記事を書いた人

アラサーの男性医師。内科専門医/透析専門医/腎臓専門医。
腎臓内科医として市中病院で勤務しています。
忙し過ぎる研修医〜専攻医を含め若手医師向けに、医師のキャリア・専門医試験/レポート対策・仕事のコツ・医学の勉強・資産形成などのお役立ち情報をまとめています。
仕事も家庭も大切にしたいと思うひとの力になれたら嬉しいです。
趣味は音楽、読書、公園巡り。

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