専攻医CKD患者の骨粗鬆症って結局どうすればいいんだろうか…



骨粗鬆症の患者さんが外来でいた。とりあえずビスホスホネート…でいいのかな…新薬は注射で痛そうだし副作用とか怖いし使いにくいな…
こんな人のための記事です。
みなさんは骨粗鬆症の診療において自分の中で確立した指針はありますでしょうか?
結構不安がある方も少なくないかと思います。
僕自身、日々どの薬をどういう患者に使っていくか、悩んでばかりいます。そもそも治療介入が適切かどうかも不安なことも多いです。
今回はそんな時に頼りになる1冊を手に入れたので、解説したいと思います!!
それが、「骨粗鬆症の守破離」です!


著者は、Xで「骨粗鬆症を撲滅する脊椎外科医」(@bokumetsuspine)として発信されている、朝田先生です。
オススメの読者:専攻医以降の医師
初期研修医にはちょっと馴染みが少なくとっつきにくいかもしれません。
専攻医以降で、基本的な診療を一通り学んだ後や、外来を持つようになったら是非読んでみるのが良いと思います✊️
骨粗鬆症治療薬が勉強しにくい理由
骨粗鬆症は、すべての医師が知っておかなければいけない一方で、かなり勉強しにくい分野だと感じます。
理由としては
・医師も患者も治療の効果を実感しにくい
・治療しなくても責められることが少ない
・むしろ治療で害がでる不安がある
・骨粗鬆症の治療経験を蓄積しにくい
・エビデンスが揃っていない(特にCKD)
こういったいろいろが、骨粗鬆症診療を複雑にしています。



骨粗鬆症の薬ってとっつきにくいイメージなんだよな〜
医師(特に腎臓内科医)は、骨粗鬆症についてニガテ意識がありがち
僕自身も腎臓内科として働きながら、CKDの患者さんの骨粗鬆症について悩みが尽きませんでした。
CKD患者はそもそも骨粗鬆症の発症割合が非常に高い患者群になります。
体感として、透析患者を管理していても半数以上の方が70%を切っている印象です。
いちばんエビデンスが蓄積しているビスホスホネートであっても、腎臓内科の立場としては、投与することを躊躇していました。
というのも、CKDではビスホスホネートが骨密度は上げても骨質が悪化してしまい、結果的に非定型骨折がアウトカムを悪化させるという考え方があるためです。さらには低カルシウム血症による副作用のイメージもありました。(余談ですが、ビスホスホネート自体で腎機能悪化、というのは案外経験は少ないです)
腎臓内科医の中でも骨粗鬆症薬の投与については色んな考え方の人がおります。
(エビデンスはないが)アレンドロン酸を2週間に1回する医師、少量ビタミンDの投与のみの医師、あるいはプラリアなど新薬を使いまくる医師…とにかく、何が正解なのかわからず、その時々で指導医の言うがままに処方することが多かったのが正直なところです。
そもそも検査についても不安があります。骨密度は評価できても、骨質を血液検査で評価することはできません。
骨代謝マーカー(BAP,TRACP5-bなど)をとりあえず測定するも、それをどう活かして良いのかについてはハッキリしたエビデンスはないですし…
とりあえず二次性副甲状腺機能亢進症は悪(PTH高値が過剰な骨回転を起こす)として、カルシミメティクスをしっかり使おうという時代の流れにはなっている印象ですが、それ以外には指針が立っていません。
新薬を含めていろいろ文献を調べてみても、たいがいはCKD患者を除外しており、いわばエビデンスの蓄積が少ない「沼」でした。
「骨粗鬆症薬の守破離」が推せる理由
今回の本が推せる理由は3点あります。
①守…わかりやすい基礎知識のまとめとフローチャート
まず、「守」の章で、基礎知識がまとまっています。骨密度の検査は大腿骨が低くでがち、とか、骨密度は意外に上下することがある数値であり、どのくらいから有意な上昇(あるいは低下)と取るかについてなど、かゆいところに手が届くことが書いてあります。
また、中盤に出てくるフローチャートがあります。とりあえずコレに応じて薬を選んでいけば、大きく外すことはない、という安心感を手にすることができました。
「アナボリック(骨形成薬)ファースト」という概念は、近隣の勉強会で聞いたことはありましたが、実際に細かく解説している本は初めて読みました。
使用上の注意点や肌感覚など、実際にたくさん診療している整形外科の先生だからこそのコメントが豊富であり、大変参考になりました。
②破…エビデンスが一覧となっており豊富
「破」の章では、具体的な薬ごとのエビデンスがたくさん載っていました。
エビデンスは暗記するのは大変ですが、いつでも参照できる形にコンパクトにまとまっているため、エビデンスを探す手間が省けるのがありがたいです。
CKD患者のエビデンスもひと目で分かるので、自分が参照にすべきものがどれかが分かりやすいです。



AIでエビデンスを探したとしても、漏れがないかどうかとか、ファクトチェックをするのが大変なので、こんなふうにまとめてもらえると使いやすくてありがたいです!
③離…エビデンスが曖昧な部分についても言及
特に、「離」の章では、骨粗鬆症治療の課題となる、「いつどの薬をどう変えていくか」=逐次療法に注目しています。
ビスホスホネートのdrug holiday、イベニティやプラリア投与後のスケジュール、変更する際の指標について、具体的に記載されていました。
まだ明らかになっていない点はわからない、と前置きしながらもエキスパートオピニオンを勇気を出して書いてくださっていることに、本当に感謝です…!!
まとめ


骨粗鬆症の診療、とくにCKD患者の骨粗鬆症は「沼」です。
ただし、現代の診療は10年前と比べて確実に進歩してきているようです。
まだまだ分からないことは多い中ではありますが、この本は悩める臨床医に一筋の光を当ててくれている1冊だと感じました。
積極的な治療が適応となる患者には、(有害事象をモニタリングした上で)きちんと評価・治療介入していき、骨折の患者さんを少しでも減らせるように、積極的な姿勢で診療を続けていきたいです!










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