子どもが生まれたら、育休を取りたいな!
育休って専攻医でも取れるのかな?
そんな研修医、専攻医の先生のための記事です。
一般的に忙しいと言われることの多い医師という職業ですが、育休を取得するのはいつが最適なのでしょうか?
- 学生
- 初期研修
- 専攻医
- スタッフ
などなど、様々な選択肢がありますよね。
僕は内科専攻医の立場で育休を取らせてもらいました。
育休をとってみて気づいたのですが、内科専攻医のカリキュラムとしての内科専門医制度(通称J-OSLER)は、基本的には評判が良くないのですが、育休取得の観点からは「意外と相性がいいかもしれない」と感じたので、考察していきます。
J-OSLERと男性育休の相性が良い3つの理由
①ローテーションの合間に育休が取れる
新内科専門医制度では、様々な診療科の症例を経験する必要があります。
具体的には、15の診療科・70の疾患群をレポートにする必要があります。
そのために、内科専攻医は
- ローテーションせずに1つの科で研修
- ローテーションしながら複数の科で研修
の2通りの方法があります。
①の場合、自分から他科の医師に相談し、症例の担当医に入れてもらう必要があります。
他科の先生とのある程度のコミュニケーションを取ることが必要なため、なかなかスムーズに症例集めをするのが難しいです。
②の場合、それぞれの科をローテーションしている時に担当した症例がそのままレポートに使えます。
自分の志望科での研修期間は短くなってしまいますが、症例を集めやすいですね。
こういった背景から後期研修になってからもローテーションを選択できる病院が増えました。(病院によっては専攻医の希望を聞いて①と②を選べることもある)
ローテーションの研修のメリットとして、一定期間で専攻医が入れ替わるため、職場からの「育休でいなくなった感」が薄く、気まずさが少ないことが言えます。
僕自身、育休中にたまたま病院に行ったときに
育休を取っていたんだね!最近見かけなかったから、他の科をローテしてるかと思ってたよ!
と言われたこともあります。笑
育休を取ることでひどく目立ってしまったり「迷惑なやつだ!」と後ろ指刺されるのが心配でしたが、案外そんなことはありませんでした。
②育休中にレポートを作る時間ができる
平日に臨床をしながらJ-OSLERのレポートを作るのは、ストレスです。
かといって休日に家族や友人との時間を割いてまでレポートするのも嫌ですよね。
レポートの時間の確保は多くの専攻医が直面している問題だと思います。
実際、僕も育休開始の時点で、症例登録は160個中80例、病歴要約は29個中3例程度と、進捗はイマイチでした。
しかし、育休を取ることで、日常業務から離脱させていただいた結果、(子育てはあるものの)レポートを作る時間を確保することができました。
具体的には、
★昼の寝かしつけをした後の1時間をJ-OSLERする
と決めて過ごしたところ、2-3ヶ月程度で専攻医3年目までに必要な症例登録と病歴要約を全て終わらせることができました。
未就学児をひとりで世話しながら家事もすることになったので、非常にハードでしたが、生活リズムはある程度整っていれば、定期的に時間を作れます。
(もちろん、お子さんがある程度寝付きが良くないと難しいですが・・・!)
また、一時保育が使えるようになれば、預けている間の時間も有効活用できます。
夜泣き対応で睡眠時間が取れないなど、体力的にしんどい時は無理をしないほうがいいですが、仕事をしていた期間よりは余裕を持ってレポートをすすめられると思います。
③6ヶ月までなら休んでも留年にならない
でも、育休なんて取ったらJ-OSLER留年になってしまうのでは?
と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
新内科専門医制度は6ヶ月までの休職なら留年せずに学年を上がることができます。
つまり、育休を6ヶ月取得しても必要な条件(レポート、学会、院内勉強会など)をクリアしていれば他の専攻医同期と同じタイミングで専門医試験を受けることができます。
※これは個人的な見解なんですが、育休の取得は最低でも2ヶ月がおすすめです。
ワンオペ育児・家事への慣れ、子の成長の実感、毎日の楽しさと苦しさの経験・・・
これらは1-2週間では到底経験できません。せっかく取るならシッカリ取りましょう!
※ちなみに、初期研修中の休職の場合は、留年しないようにするには3ヶ月(90日以内)に抑える必要があります。
つまり、専攻医のほうが長期間休めるのです。
もしどちらで育休を取るか悩んでいるなら初期研修よりも専攻医の間がよいかもしれません。
まとめ:J-OSLERと育休は、意外と相性がよいかもしれない
①ローテーションの合間に育休が取れる →上級医に意外と迷惑はかからない
②育休中にレポートを作る時間ができる →J-OSLERクリアの難易度が下がる
③6ヶ月までなら休んでも留年にならない →最大6ヶ月の育児休業を取得するチャンスがある
色々な場で不評なJ-OSLER(新内科専門医制度)ですが、ローテーション、レポート作成の時間、休める期間などを考えると育児休業との相性はいいのかもしれません。
子どもを授かるタイミングは誰にもわかりませんが、内科専攻医でも育児休業は取得可能なので、積極的に検討してみてくださいね^^
読んでいただきありがとうございました!
■関連記事
・育休を取得したいのに、ブラックすぎたり、上司の理解がない職場にいるせいで取得が難しい方は少なくありません。
そのような場合は、自分から主体的に、家庭を大切にできる環境に身を移すことも選択肢だと思います。
・男性医師として、育休を取って感じたメリット・感想をまとめてみました。
●おすすめの本
・新装版 小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK [ 森戸やすみ
新生児〜役に立つ育児の本です。とっても具体的かつちゃんとエビデンスに基づいた内容がいっぱい。
子供が生まれたらまずは手元において置きたい。
コウノトリのモデルとなった先生が書かれた本です。
妻が妊娠し出産するまでに読みましたが、コウノトリのすこしシビアなイメージとは違い、楽しく面白い本でした。
「この本を手にしている時点で、あなたは良いダンナです」と著者が断言してくれているのが嬉しかったです。笑
コメント