市中病院でバリバリ働いていた研修医です!大学病院で来年度から働く予定だけど、どんな感じですかね?
そんな人のための記事です。
この記事では
●大学病院の特徴
●大学病院の特徴を踏まえたうえでの対策
を解説していきます。
大学病院に勤務した人なら「あるある」の経験談をいっぱいご紹介していきますよ〜
大学病院の特徴5選
大学病院は、以下のような特徴があります。
雑用が多い
「お伺い」を立てる必要がある
引継ぎが大変
重症度が高い
独自ルールが多い
デメリットしかないじゃん!!
という気持ちはそっと抑えておき、一つずつ読んでください。笑
大学病院の特徴①雑用が多い
ま、またこんなに書類が山積み・・・!
大学病院はなんといっても雑用が多いのが特徴です。
- ラベルを採血スピッツに貼りに行く
- 入院診療計画書と退院療養計画書にサインをもらう
- 他の病院への紹介状をFAXする
- 転院調整をすべて一人で行う
など、市中病院では考えられないような作業が待っています。
また、ルート確保や採血検査など、市中病院では看護師がする仕事も、なぜか医師の仕事となっている病院もあります💦
また、病棟を出ても、雑務が待っています。
- 生活保護受給証明書や生命保険の書類作成
- 院生が研究するために採取した検体を処理
- 忘年会や歓迎会の企画や場所の確保、スケジュール調整
など、こまごまとしたことですが負担になります。
以前と比較して雑務が減った、とは言われていますが、まだまだ医師の雑務が多いのが実情です。
大学病院の特徴②「お伺い」を立てる必要がある
この患者、不整脈があるから、不整脈専門の先生にカンファレンスで相談しなきゃ・・・って、今日は外勤だわ(涙)
市中病院では、専攻医になったら立派な戦力として、自分の判断で色々な診療を行っていきます。
しかし、大学病院では、専攻医が自分の一存で治療を決めることはできません。
●不整脈のことなら、不整脈の先生に
●カテーテルのことはカテーテルの先生に
など、必ず専門性の高い先生が1人はいるので、カンファレンス、あるいは直接その先生にお伺いを立ててから、診療方針を決める必要があります。
もちろん専門の先生がいるのは心強いのですが、全て相談してからでないと物事が決まらないので、効率はかなり悪いです。
医局によっては、教授に了解を得なければ退院日を決定できないことも。
自分で決めていいこと:決めてはいけないことの割合は、体感で1:9くらいでした・・・
自分の判断で進めていけないとなると
- 自分で診療方針を考える力がなくなる
- 自分が仕事している感覚がない
- モチベーションが上がらない
といった気持ちになりました。
しんどかったですね。(遠い目)
大学病院の特徴③引継ぎが大変
明日外勤か・・・持ち患者の全員分の申し送りを作らなきゃ
大学病院での勤務はとても給料が低いので、外勤(外病院へのバイト)で給料をまかなう必要があります。
外勤に行く日は他の医師に仕事をお願いする必要があるので、引継ぎを文書で作ります。
引継ぎは、
- 大学病院は患者の重症度が高いので情報が多い
- 日中の忙しい仕事の合間に、時間を作って文章でまとめる
- 引継ぎに漏れがあったら迷惑がかかるので責任重大
などの理由で、かなり負担が重たかったです。
また、外勤の日に自分の診療が途切れてしまうので、後日、自分のいない間に何があったのか、きちんと把握するのも大変でした。
大学病院の特徴④重症度が高い
大学病院の患者は複雑な合併症を抱えていることが多く、一筋縄ではいかない症例が多いです・・・
大学病院は、いわば「最後の砦」としてのポジションにあります。
診療科がいろいろと揃っているぶん、様々な専門的な治療がなされています。
- 心臓血管外科で大動脈解離の術後管理中にAKIになった症例
- 膠原病科で免疫抑制治療をされた後に重症感染を合併した患者
- 先天性心疾患の患者の肺高血圧症
などなど、市中病院では珍しい症例が多いです。
シンプルな「心不全」「肺炎」「尿路感染症」などが多い市中病院と比較して、患者さんの重症度が高い印象にあります。
患者さんの経過がすごく長いから、カルテを追うだけでも大変だな💦
色々な疾患を学べるいい機会にはなりますが、雑務に追われる中で重症度の高い症例を数多く見るのは精神的・体力的にかなり負担になります。
大学の特徴⑤独自ルールが多い
今日も20時まで働いたな・・・月に時間外手当は30時間までしか書けないから、もう申請はできないな。涙
大学病院は、独自の文化、ルールがとっっっっても多いです。
- 時間外当直は一定時間までしか書いちゃだめ
- 当日の看護師への指示はカルテに書くだけでなくピッチで連絡
- 投与する薬剤の濃度が病棟によって違う
などなど。
通常であれば、働き方やルールは時代に即して変化していくものです。
しかし、医局の上級医だけでなく、各部署(薬剤部、看護部)などのお局様たちなど、なかなか主張が強いせいで話し合いがまとまらないことも多いようです。
下っ端の医師は大学病院のルールが変だなあと思いつつも、在籍する期間が短いので特に改善を期待することなく、それまでの文化が踏襲されていく・・・
といった形で、「最新の医療を提供しつつも、古い文化が変わらない体質」になりがちです💦
大学病院に勤務する医師がすべき3つのこと
こんな病院で働くのしんどすぎる・・・!
そう感じたあなたがすべきこと3つを解説します。
①同期や先輩を頼る
1つめは、
同期や近い世代の先輩をしっかり頼ること
です。
医師の仕事は複雑で、
- 勉強すればどうにかなる部分
- 勉強ではどうにもならない部分
の2種類があります。
近い世代の先輩や同期は、カルテの使い方や独自のルールなど色々なことを知っています。
- 話しやすい同期や先輩を見つける
- こまめにコミュニケーションを取る
- 相談に乗る、相談をする
といった関係性が作れていれば、孤立することはないはずです。
②「とりあえず大学院」は控える
大学病院で勤務すると必ずと言っていいほど
君は優秀だから、とりあえず大学院に入って専門性を磨くのがおすすめだよ!
と大学院に入ることを勧められます。
優秀でも、優秀じゃなくても言われます。
医局によっては、大学院に入ることが強制となっているところもあります。
しかし、大学院に入るということは
- 大学病院での仕事をしながら
- 空いた時間に研究を進めて論文を書き
- 合間を縫って外勤バイトに行って生活費を稼ぐ
と、いわば自分をさらに追い込む選択肢となりえます。
周りの人が入っているから・・・と大学院に進学するのではなく、
- 自分が大学院に入りたい理由は何か?
- それは本当に大学院でないと得られないものか?
- この医局の大学院でないと得られないものか?
をしっかりと確認した上で、アカデミックに進みましょう。
大学院は、たくさんの論文を読み研究をすることで自分の臨床能力を深めるいいチャンス。一方で、「なんとなく」大学院に入ると、痛い目にあう人も多いです・・・
③出口戦略を考えておく
大学病院は(診療科によりますが)ストレスの多い、過酷な職場です。
医局の働き方って、思っていたのと違う・・・
そのままハードに働き続けると、疲弊して自分を追い込むことになりかねません💦
大学病院、ないしは医局での働き方に自分が合わせていくよりは、
自分が
- 何のために入局し
- 何を達成したら医局をやめるか
- 医局をやめた後にどう働きたいか
という出口戦略をある程度考えておくのがおすすめです。
僕は内科専門医とサブスペ専門医を取得したら、速やかに医局をやめるつもりです。
とはいえ、
医局をやめた後にどんな就職先があるのか分からない💦
と不安になりますよね。
そういった方は、早めに転職サイトの登録をしておくのがおすすめです。
マイナビDOCTORや医師転職ドットコム、リクルートドクターズキャリアなどの転職サイトで一度検索してみると、医局人事でない病院もたくさんあり、求人も一定数存在することを知れます。
転職エージェントさんに相談すれば、(すぐに転職をするわけではなくても)毎月メールで自分の条件に合った病院の情報を送ってくれます。
「自分の市場価値を知る」ということができると、精神的にかなり余裕を持てます。
まとめ
大学病院は、
雑用が多い
「お伺い」を立てる必要がある
引継ぎが大変
重症度が高い
独自ルールが多い
などの特徴があり、非常に大変な場所です💦
「修業の場」と割り切ることも大切ですが、
同期や先輩を頼る
「とりあえず大学院」は控えておく
出口戦略をきちんと考えておく
ことは重要です。
ぜひ早めに準備して無難に乗り切り、対策をしておきましょう!
■おすすめ記事です
コメント