【これだけは知っておきたい】ARNIについて

ARNIって有名ですが、まだ新薬であり使い方に迷うことがありますよね。

今日は使い方のヒントを探るべく、こちらの本で学んだ内容を含めまとめてみました。

「ARBIとSGLT2阻害薬についてシンプルにまとめてみました」

ARNIの概要について知りたい方は勿論、この本自体の購入を検討中の方も楽しめる内容になっていると思います。

ぜひ最後までお付き合いください^^

この記事は、こんな人におすすめ!

ARNIの使い方を知りたい人

ARNIが気になっているが、いまいちよく分からない人

「ARNIとSGLT2阻害薬についてシンプルにまとめてみました」の内容が気になっている人

※注 あくまで自分の勉強のために、この本の内容と私見をまとめたものになります。実臨床では慎重に適応を判断の上で、ご自身の責任でご使用を検討ください。

目次

ARNIの概要 

薬剤の特徴

●ARNI=アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬

●一般名:サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物

●商品名:エンレスト

●作用機序

ARB(バルサルタン)として、RAASを阻害する。

ネプリライシン阻害薬(サクビトリル)として、ネプリライシンによるANP,BNPなどの血管作動性ペプチドの分解を阻害することにより、

①利尿・血管拡張   (hANPの内服verのイメージ)
②心筋リモデリング予防
③慢性的な腎保護効果

が期待できる。

●製剤:エンレスト錠50mg、100mg、200mg

●剤形:錠剤

投与量

<慢性心不全の場合>

1回50mgを1日2回で開始、2-4週間感覚で段階的に1回200mgまで増量する。

1回投与量は50mg、100mg、200mgのいずれか。いずれでも1日2回。

<高血圧症の場合> ←最近適応が通りました(2021年)

1回200mgを1日1回。最大投与量は1回400mgを1日1回。

本書では、

収縮期血圧100-120mmHgになるように投与量を調整する

ように推奨されています。

つまり、

120mmHg以上なら増量

100mmHg以下なら減量

といった感じです。

副作用・相互作用

●投与禁忌:ACE-Iを投与中の患者、あるいは投与中止から36時間以内、血管浮腫の既往、アリスキレンフマル酸塩を投与中のDM患者、肝機能障害(Child-Pugh分類C)

●併用禁忌:ACE-I、DRI(直接的レニン阻害薬=アリスキレンフマル酸塩(ラジレス®))

●副作用:血管浮腫(0.2%)、腎機能障害、低血圧、高K血症、ショック、低血糖など

ARNIの立ち位置

心不全への影響

上記のような機序で、心不全患者において非常にメリットの大きい薬剤とされています。

心不全ガイドライン2021では、EF<40%のHFrEFにおいて基本薬とされていますね。

RAS阻害薬、MRA、β遮断薬と合わせて

「ファンタスティック4」

といわれてます。

ARNIは、心不全患者においては不整脈による突然死も減らすというメリットもあります。

※ちなみに、サッカー界のファンタスティック4といえば、この4人。

新たな「ファンタスティック4」。香川、ムヒタリヤン、オーバメヤン、ロイスを導く指揮官の存在より
研修医

カッコいい。

他のARNIの良いところ

糖代謝:ネプリライシンは、GLP-1のペプチド分解を担っている

→程度は違えどGLP-1作動薬と同じ機序で血糖を下げる

実際に、臨床試験では(わずかながら)A1cは下がっているようです。

おちば

低血糖についても頻度不明として副作用に挙げられていますが、正直ARNIで低血糖になっている人なんて見たことないです。

この他にも尿酸排泄作用もあるようです。

これらによりポリファーマシーが問題となっている患者において一助となるかもしれないと、本書では触れられています。

どんな患者に使うべきか/避けるべきか?

本書によると、ARNIの良い候補は2つ挙げられています。

①慢性心不全の経過中に心不全が悪化し、入院となる例

②外来経過中にBNPが緩徐に増加している例 

①:慢性心不全の経過中にこれまでの基礎治療薬+利尿薬を調整しても再発を繰り返している場合は、積極的な適応になるかもしれません。

入院中のほうが導入時の有害事象をモニタリングしやすいので◎ですね。

②:外来経過中に症状はなくてもBNP上昇傾向の場合、塩分制限やライフスタイルの是正のみで埒が明かないことがあり、ARNIを早期に導入しておくのは一つの手かもしれません。

などが挙げられています。

超高齢者や予後不良な重症心不全低血圧患者などはデメリットがメリットを上回る可能性が高く、避けたほうが無難です。

ちなみに:ARNIを使うと、BNPは上昇してしまう?

ARNIが、BNPの分解を阻害するのであれば、BNPの血中濃度が逆に上がりそう・・・と思いますよね。

実際そのとおりで、臨床試験ではBNP、ANPなどの分解する役割のネプリライシンを阻害するため、血液検査でBNPは上昇してしまうこともあるようです。

そのため、ARNI使用患者の心不全フォローには、ARNIによる影響のないNT-proBNPが推奨されています。

※厳密に言うと、実際はBNPが下がる症例もあるようで、マーカーの動き方は個人差があるようです。

どの施設でもNT-proBNPが測定できるわけではないので、やむを得ない場合はBNPで経過を追うことも選択肢、と本書では記載されていました。

ARNIを使用中は、BNPが上がることがあるので注意

CKD患者・透析患者におけるARNIは?

ちなみに、本書では触れられていませんでしたが、CKD患者のうち、CCr<30の患者は、慢性心不全の臨床試験に組み込まれていなかったようです。

では、腎機能低下している患者さんではどうなんでしょうか?

2018年に平均eGFR34(20-60)の患者集団において使用しても、重篤な有害事象は対照群(イルベサルタン)と比較して増えないかつ、血圧や心血管リスクのバイオマーカーの低下に優れていたとの報告(The UK HARP-Ⅲ試験)があり、使用を考慮してもいいかもしれません。(腎保護効果には有意差なし。)

また、2020年のメタアナリシスでは、心不全とCKD合併患者において、RAS阻害薬単剤(イルベサルタン、バルサルタン、エナラプリル)と比較したところ、ARNIはeGFRを有意に増加させ、血圧、NT-proBNPを減少させたとの結果も出ています。

一方で、透析患者についてはまとまった文献は残念ながら見つかりませんでした

ただ、腎機能やアルブミン尿について効果はなくても、血圧や心血管リスクのバイオマーカー(NT-proBNPなど)を低下させ、心血管疾患・死亡率を下げる可能性は(理屈上は)十分に考えられます。

実際にHD患者で虚血性心筋症のHFrEFを認めている患者の心不全に対してARNI導入に成功した症例報告はありました。

腹膜透析患者についても、効果があるかもしれないという報告もあります。

ARBを使用している透析患者さんはおられますし、今後さらにエビデンスが出てくるのが楽しみですね。

◉腎機能低下(eGFR20以下)の患者や透析患者ではエビデンスが不足している

まとめ

ARNIについて、まとめてみました。

この本は、ARNIについてのエビデンスを、シンプルに、かつ豊富なFigureを掲げながら説明されており、非常に説得力のある内容となっていました。

最近話題のSGLT2阻害薬についてもしっかりとした内容が載っているので要チェックです!

※この「シンプルにまとめてみました」の著者である山下先生は、「3秒で心電図を読む本」や、「不整脈で困ったら」など循環器の入門者向けの本をいくつも書かれています。

非専門医にとってもわかりやすく為になる内容です。

気になる方は、合わせてチェックしてみてくださいね。

■こんな記事も書いています。

・AKIだ!となったときに、腎臓内科へコンサルトする際にしておいてほしいことをまとめてみました。

・HIF-PH阻害薬の代表格、エベレンゾについてまとめてみました。

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この記事を書いた人

アラサーの男性医師。内科専門医/透析専門医/腎臓専門医。
腎臓内科医として市中病院で勤務しつつ、フルタイム妻と一緒に実家遠方子育て中。(育児休業後)
忙し過ぎる若手医師向けに、医師のキャリア・専門医試験/レポート対策・仕事のコツ・医学の勉強などお役立ち情報を発信しています。
医師として頑張りたい、けれど家庭やプライベートも同じくらい大切にしたい!
そんな人の力になれたら嬉しいです。
趣味は音楽、読書、公園巡り。

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