CKD患者において、高尿酸血症の治療は末期腎不全への進展を予防する可能性があるとされていたが…
■高尿酸血症は、以前はCKDの進展予防や心血管イベント予防のために積極的に治療することが望ましいとされていました。
■しかし、ここ最近ではその風潮は変化してきています。
■今回の記事では、NEJMで過去に発表された論文を紹介します。
最新の論文ではなくても、ガイドラインのもとになったりしている大事な論文なので取り上げます!
Effects of Allopurinol on the Progression of Chronic Kidney Disease(CKD-FIX Study)N Engl J Med 2020;382:2504-13.
・CKD Stage3、4で尿アルブミン高値あるいはeGFR低下3/year以上の患者において、104週間のアロプリノールでの尿酸降下療法でeGFR低下スピードの低下はみられなかった。
背景
■高尿酸血症は、CKD進展に関与しているとされている。
■しかし、アロプリノールによる尿酸降下治療が、進展リスクの高いCKD患者のeGFR低下にどこまで意義があるかは不明である
方法
■RCT
■CKDステージ3か4で、痛風の既往のない、尿アルブミン/クレアチニン比265mg/gCr以上あるいはeGFR3/年以上の低下のある患者
■アロプリノール100-300mg/dayの投与 VS placebo
■primary outcome: 104週時点でのeGFR変化率
結果
■369人がランダム化、アロプリノール群(185人)とプラセボ(184人)。
■平均eGFR31.7、尿中アルブミン中央値716.9、平均の尿酸8.2。
■104週の追跡で、eGFR変化は-3.33/y(アロプリ)、-3.23/y(プラセボ)と差がなかった。
■有害事象も差はなかった(46%(アロプリ)vs44%(プラセボ))
■アルブミン尿もeGFR低下率、血圧やESKD、死亡も差はなかった。
結論
■CKDで進展リスクの高い患者において、尿酸降下療法はeGFR低下スピードを緩める効果はないかも
おちば的補足と感想
■最近、CKD患者において、尿酸降下療法の意義がどこまであるのかはcontroversialとされています。
■この論文以外にも、PERL Clinical trial、FREED研究などでも高尿酸血症の治療はeGFR低下に関与されていないとされています。
■海外のガイドラインでも尿酸降下の意義が乏しいかもという話もありますし、日本のCKDガイドラインでも目標値が明記されなくなっています。
■あと、KDIGOのガイドライン2024でも、無症候性なら介入不要とのことでした。
■しかし、腎臓内科の先生の中には、肌感覚としてeGFR低下スピードが下がったという先生もおられます。
こんなときどうする?腎疾患で高尿酸血症の章を書かれている八田告先生は、
無症候性高尿酸血症患者に対する尿酸降下薬の投与が腎機能低下を抑制するか否かについては、明確なエビデンスは得られていない. ただ筆者は, 積極的な尿酸生成抑制薬の投与によって、腎機能低下抑制に繋がっていると実感する症例も経験しており、無症候性であっても高尿酸血症はCKD増悪因子の一つとして考えている.
こんなときどうする?腎疾患 p99-100より引用
と述べられておりました。下げる意義がまったくないというわけではなく、患者さんによってheteroな要素があるのかもしれませんね。
■個人的には、CKD患者さんはただでさえpolypharamacyになりがちなので、減らせる薬を減らすという意味で尿酸降下薬を切れたら嬉しいなとも思っています。
■特に、透析クリニックで透析導入前に処方されたまま漫然とDOされている、痛風や関節炎の既往がないのに尿酸低値にもかかわらず入り続けている透析患者のフェブリク、アレだけは許せない🤔(早口)
■今後もCKDや電解質、透析、生活習慣病についての論文を読んでいきますので、お付き合いいただけたら幸いです!
最後まで読んでいただきありがとうございました!(^^)
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