【書評】「腎臓診療フローチャート」—”いつ腎臓内科に紹介するか”の答えがここにある!

研修医

この患者さん、若いのにeGFR50か・・・すこし低いけど、どうすればいいのかな…?

専攻医

CKDっぽい患者さんはいっぱいいるけど、腎臓専門外来にいつ紹介したらいいのか分からないな。

こんな人のための記事です。

おちば

こんにちは!腎臓内科医のおちばです。

今回ご紹介するのは、「腎臓診療フローチャート」という一冊。

腎臓内科領域で有名なTT先生の最新作です。

前作『無敵の腎臓内科』が大ヒットしたのは記憶に新しいところですが、今回の新刊は前作とは明確に趣旨が異なる構成になっています。

腎臓内科医だけでなく、タイトルの通りプライマリケア医はもちろん、内科外来をやる全ての先生に1冊手元に置いておいてほしい本でした。

今回の記事は、その理由を3つのポイントで紹介します。

おちば

それでは早速、いってみましょ〜!


目次

ポイント① 基本にしっかり忠実

本書は、CKDの紹介基準について、とても「基本に忠実」な1冊となっています。

「基本」と聞くと、地味で面白みのないイメージを持つかもしれません。

  • CKDの患者さんをどうスクリーニングするか
  • いつ腎臓内科の専門外来に紹介するか

これらは日常診療でありふれている悩みであり、一方で地味で派手さのないテーマでもあります。

しかし本書は、あえてそこに真正面から切り込んでいるのが最大の特徴です。「どう紹介すればいいのか」「どんな検査を出せばいいのか」といった、シンプルだけど今まで明文化されてこなかった部分がきちんと言語化されています。

なぜそこに力を入れるのか。本書にはその問題意識がはっきり書かれています。

「明らかに早いeGFR低下を示していても、適切な介入がなされず、見過ごされている方が決して少なくない」 「なぜもっと早い段階で介入されないのか」

特にIgA腎症については、筆者の強い思いが現れているこんな一節があります。

「新薬の開発ばかりに注目が集まりがちだが、個人的には『ヒューマンエラーによる見逃しを減らし、いかに検診や一般外来で早期発見するか』『情報啓蒙によって、いかに専門外来受診へつなげるか』という点にフォーカスすることも重要だと思う」

おちば

派手ではないものの、診療のインパクトが最も大きい領域に光を当てた本、という印象を受けました。いぶし銀!


ポイント② 具体性・再現性が高い

本書の序盤では、1つのフローチャートを使ってケースを解いていくという構成になっています。

使われているのは、複雑な計算式でも難解な病態生理の議論でもなく、とてもシンプルなフローチャートです。

腎臓学会が提唱している図としては、↓のようなものがあります。

エビデンスに基づくCKDガイドライン2023より引用

・・・どう感じますか?

図が1つとはいえ、結構分かりにくいというのが本音ではないでしょうか?

(よくできた図だとは思うんですが、特に下の段は字が多くて・・・!)

いっぽうで、本書の中で出てくるチャートは1つだけ。しかも、シンプルです。

前作『無敵の腎臓内科』を読んだ方の中には、「え?これだけ?」と拍子抜けする方もいるかもしれません。でも裏を返せば、1枚のチャートで様々な症例に対応できる=それだけ汎用性が高く、実際の外来で役立つということです。

本書にもこう書かれています。

「腎臓病学の専門書にありがちな難解さを避け、プライマリケアの現場に立つ先生方の視点でまとめました

まさにその通りで、実践的・具体的・再現性の高いフローチャートに仕上がっています。

また、個人的にツボったのは、後半の「落とし穴」パート

この本ではチャートの紹介だけでなく、それに付随した日常診療で押さえておくべきコツ・ポイントを取り上げており使えます。

例えば

早朝尿を出すときは、尿カップをあらかじめ患者に持って帰ってもらう必要がある。(中略)早朝尿を次回診察日より少し前に提出してもらって、その際に一緒に血液検査も受けて帰ってもらうと良い

こういう「確かに言われてみれば当たり前、でも誰も教えてくれなかった」的なTipsがさり気なく散りばめられていてます。

おちば

早朝尿の評価って大事ですよね~


ポイント③ メインの対象読者はあえて腎臓専門医「以外」

上述の通り、この本の読者ターゲットはかなり広いです。

  • 腎臓専門医
  • 内科外来を始めたばかりの研修医・専攻医
  • 日々の外来で高齢患者さんと向き合うベテラン開業医

どの層にも刺さる内容になっています。

さらに嬉しいのがボリューム感175ページと、前作『無敵の腎臓内科』の半分以下の分量で、読み切りやすい薄さです。とっつきやすさは抜群。

加えて、本書に登場する1人と1匹のキャラクターが可愛らしく、会話形式で読み進められます。

たとえば77ページのやりとり。

本書より、著者の許諾を得て掲載。
「過言なのだ」のツッコミに思わず吹きました
おちば

すこしおっちょこちょいな研修医の先生と、某ハムスターみのある腎臓妖精の軽妙なやりとりに、思わずにやりと笑っちゃうこと間違いなし。笑

医学書にありがちな内容的な(そして物理的な)「重さ」もありません。

診療科を問わずコスパが良い・楽しめる一冊だと思います。


まとめ:無敵の腎臓内科=”切り札”、フローチャート=”日常のベース”

以上、『腎臓診療フローチャート』の概要でした。

決して派手な本ではありません。でも、内科外来に1冊置いておけば、じわじわと効いてくることは間違いないと感じました。

CKD診療の薬に例えるなら、

  • 『無敵の腎臓内科』=免疫抑制剤(幅広いカバーで切れ味鋭く、ここぞという場面で使って効く)
  • 『腎臓診療フローチャート』=RAS阻害薬(派手さはないが、日常のベースラインを底上げし、長期的に患者さんを守る)

そんな立ち位置の違いかなと思います。(逆に分かりにくい?🤔笑)

要するに、あなたの外来に通うCKD患者さんの予後を、確実に改善してくれる良書ですよ👍

ぜひ手に取ってみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


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この記事を書いた人

アラサーの男性医師。内科専門医/透析専門医/腎臓専門医。
腎臓内科医として市中病院で勤務しつつ、フルタイム妻と一緒に実家遠方子育て中。(育児休業後)
忙し過ぎる若手医師向けに、医師のキャリア・専門医試験/レポート対策・仕事のコツ・医学の勉強などお役立ち情報を発信しています。
医師として頑張りたい、けれど家庭やプライベートも同じくらい大切にしたい!
そんな人の力になれたら嬉しいです。
趣味は音楽、読書、公園巡り。

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