【経験談】医師の「平日週1スポットバイト」のメリットとデメリットと活用法を解説

専攻医

スポットバイト、やってみたいけどちょっと怖いな・・・何か準備しておいたほうがいいことはあるのかな。

内科医

スポットバイトは、どのくらいの相場なのかな。定期での非常勤勤務とくらべてどっちがいいんだろう。

こんな人のための記事です。

スポットバイトと聞くと、皆さんはどんなイメージを持っておられるでしょうか?

「スポットバイトなんて誰でもできるから楽だろう」

「知らない職場で働くから大変そう」

など、様々な意見があるかと思います。

おちばは、アフターコロナの時期から半年間、常勤先での勤務に加えてスポットバイトを週1回で入れていました

おちば

合計10か所くらい、転々としながらいろんな経験をしました。

今回の記事では、今からスポットバイトをやってみようと思っている初心者の皆さんに向けて

●スポットバイトと定期非常勤の違い

●スポットバイトのメリットとデメリット

●おちばが定期的なスポットバイトを半年間でやめた理由

をまとめてみました。

今後、スポットバイトを考えている医師のみなさんの参考になれば幸いです。

おちば

それでは、いってみましょう!

目次

医師のスポットバイトと定期非常勤の違い

まずはじめに、スポットバイトと定期非常勤の違いを説明します。

スポットバイトは、文字通り、スポットで働きたいタイミングで仕事を入れます

サイト登録をおこない、募集の中から自分で選んで申し込んで、採用の連絡が来たらその日だけ働きます。

いわば、日雇い労働者って感じでしょうか🤔(表現が良いのか悪いのかわかりませんが)

スポットバイトの場合、基本的に履歴書のみで採用不採用が決まるので、面接は基本的にありません。

おちば

内科医がするなら、一般内科外来や訪問診療が多いでしょう。ときどき透析バイトもありました。美容は人気なのか、自分の地域で募集は少なかったです。

一方で、定期非常勤は、定期で「○曜日の9時〜17時」など決まった時間帯で働くことをいいます。

こちらも募集サイトから申し込みます。履歴書だけでなく、面接を経て採用不採用が決まることが多い印象です。

毎週定期的に働くことが多いぶん、収入源として安定している印象です。

おちば

こちらも一般内科外来や訪問診療の募集が大多数ですが、専門性の高い専門外来の募集が、スポットバイトよりも多かった印象です。

スポットバイトのメリット・よかったこと

1.スケジュールを自分で組める

スポットバイト最大のメリットは、その曜日のスケジュールを自由に組めることです。

・午後に子どもの定期検診があるから、午前だけの仕事にしておこう

・その日は何もなさそうだから、1日のスポットバイトを入れよう

・その日を休みにしておいて、他の休日とくっつけて連休にして家族旅行に行こう

などと自由にできるのは非常に良かったです。(常勤先でもできなくはないですが、やはり他の人に迷惑がかかることや、自分の仕事がいない間にたまること、引き継ぎをしないといけないことは結構負担ですよね。)

週4勤務にすることによるスケジュールの自由さは、他にやりたい趣味、没頭したいことがある場合に、有効です。

特に育児している方は、平日に自分の時間を確保するのって大変ですよね。やっと週末が来た!と思っても子どものお世話で気づいたら月曜日の朝・・・という人も少なくないのではないでしょうか。

「副業や起業をしてみたかった」「ゆっくり読書したかった」など自分の時間をその週1日の休みで使えたら、QOLがをアップする可能性を秘めています。

とはいえ、ずっと週4で働くと給料が・・・という方が、すこしでも収入をupさせるという意味でスポットバイトを入れるとバランスが取れそうですね。

2. 興味のある仕事に挑戦できる

自分の関心や興味に合ったバイトを選べるのも魅力です。

常勤先とは違う、普段の診療では経験しづらい領域に挑戦することも可能です。

・週4で急性期病院の診療をしつつ、週1で訪問診療

・週4で訪問診療しつつ、週1で専門外来

・週4で療養型病院、週1で手術

など、いろんなかたちで働き方を組み合わせることができます。

定期非常勤でもこちらは実現可能ですが、いきなり一つの勤務先で決めてしまうと、そこが合わなかった時にまた新たに探す必要があります。

こんな場合に、いろんなところでスポットバイトをして経験をして、「訪問診療は自分に合いそうだなー」とか、「この病院の内科外来はあまり合わなさそうだな…」など、自分に合う仕事を探す良い機会になります。

3. 色んな病院を知ることができる

2とも近いのですが、色んな病院での勤務を経験できるので、他院の環境や診療スタイルを知ることができます。

いわば、「実際に働くことができる病院見学」みたいな感じでしょうか。

たとえば、自分は透析バイトで行った病院で他の透析医の処方の仕方を知って「こんなことに気をつける先生もいるんだなあ」とか「ここはこの処方を残すのか…」など、カルテめくりをすることで勉強になりました。(もちろん、まったく関係ない患者さんのカルテを見るのは個人情報的にアウトなので、自分が勤務の日の透析患者さん以外は見ていません!)

看護師さんや患者さんの雰囲気も病院によって様々でした。仕事のしやすさ、忙しさも結構病院によって異なり、求められるスキルもそれぞれ異なるんだなということを知ることができました。

後述する通りスポットバイトでは即戦力が求められるので、スキルアップにつながるほど誰かに教えてもらえる環境ではありませんが、自分のスキルや視野が広がったように思いました。

スポットバイトのデメリット・きつかったこと

続いては、スポットバイトのデメリットです。

他のサイトではあまりデメリットについて書かれていなかったので、ここではあえてデメリットを詳しめに書きます。あくまで個人的に感じたことなので、参考がてら読んでください🙇‍♂️

給料が安め

まず、給料は安めです。

かなりしんどい勤務(大きめの病院の救急1日や、夜間当直など)だと1日で100000円など高めのものもありますが、平日の日中に内科外来や訪問診療などする場合は、基本的に安かったです。

地域によるとは思いますが、僕の近くの地域では、半日で30000-40000円、1日で70000円などでした。

定期非常勤でしっかり来てくれるほうが病院としてもありがたいので、あくまでスポットはスポットとして割り切って働いたほうが良いかもしれません。

良い条件の病院は求人がすぐ埋まる

2つめは、条件が良い病院はすぐ求人が埋まるということです。

立地がよく、仕事もハードすぎず、かつ高単価のスポットバイトは人気なので、見つけて申し込んだときには既に手遅れ・・・というパターンが多かったです。(透析バイトとか結構すぐなくなる)

僕がスポットで行った病院は、一番近いところは電車通勤で20分程度、最も遠いところで片道2時間くらいかかりました。(さすがに遠すぎて通勤疲れるので1-2回でやめました)

(自分のことはさておき)いったいどれだけの人数の医師が普段からスポットバイトをしているのかはよく知りませんが、案外平日に時間の余っている医師もいるもんなんでしょう。研修医・専攻医のときには知るよしもありませんでしたが…

※遠すぎるスポットバイトのライフハックとして、ちょっとした旅行的なノリで行くのがオススメです。事前に美味しいごはん屋さんとか探しておいて食べに行くとQOLがupするので良いと思いますよ。笑

成長は期待できない

3つめは、自分のスキルアップに期待できないことです。

基本的にスポットバイトは、「その場を乗り切れる即戦力」を期待されています。

そのため、誰かに丁寧に教えてもらうみたいなことはまず難しいです。

知らない場所で知らない症例を経験できても、その後のフォローができるとも限らないので、自分の診療の答え合わせもなかなかできません。

そういう意味では、定期非常勤のほうがオススメです。

カルテが違うから大変…

4つめは、普段とカルテが違うから大変だという点です。

みなさんご存知の通り、病院ごとにカルテシステムは全然違います。

事前にカルテの説明があるにはあるのですが、時間もそんなにかけられないですし、最低限を教わったら後は手探りです。

検査結果一つみるのもどこを押せばいいのかわからないし、次回予約を取るのも一苦労です。診察終わってファイルを本人に渡せばいいのか、看護師さんに渡せば良いのかもよくわからないままに外来スタートされてめちゃめちゃ困ったこともあります。慣れた頃には終業時間…みたいなこともザラでした。

仕事内容がそこまでハードでなければ大丈夫ですが、大量の患者さんをさばかないといけない外来とかだと結構キツかったです…

仕事内容にムラがある

5つめは、病院によって仕事内容にムラがあることです。

たとえば、同じ「内科外来」の募集でも、クリニックに近い診療所では、外来の人数は少なめ+健診orリハビリ前の問診or軽症が多かったです。採血を取る症例も1-2例とかいう病院もありました。

一方で、大きめ(〇州会など)の急性期病院の「内科外来」では、患者さんは大量に予約外で押し寄せてきますし、「救急外来へ昨晩受診して翌日受診しろと言われたので来ました」という症状がヘビーめな患者さんもしばしば来られていて大変でした・・・

働く場所が違うと働く内容もかなり異なるので、特に初めてのスポットバイト先は注意したほうが良いかもしれませんね。

慣れたバイト先もすぐに募集がなくなる

6つめは、割と気に入っていたバイト先でも、急になくなることがあることです。

理由は簡単で、定期で来てくれる医師が雇えるようになったから。

僕は気に入っていた透析バイト先があったのですが、2ヶ月くらいでなくなってしまいました。

だいたいスポットバイトを募集している病院は、定期非常勤も合わせて募集していることが多いです。

スポットで行った先の病院で「定期で働きませんか」と誘われることもしばしばありました。

やはり条件のよい病院は、スポットも埋まりやすいですし、すぐに定期非常勤の枠も埋まってしまうのでしょう🤔

おちばが週1スポットバイトをやめた理由

ここまでスポットバイトについて説明をしてきました。

スポットバイトの記事を書いていてアレなんですが、僕は週4常勤+週1スポットバイト生活を半年くらいした後、いまはその週1回を定期非常勤に変更しています。

上で書いた通り、収入面、臨床能力面のいずれにおいてもあまりコストパフォーマンスが良いとはいえないのもありますし、週1の休みをたまに作っても、あまり充実した時間の過ごし方ができなかったのもあります。これは僕自身の問題でもありますが…

SNSでは時々スポットバイトだけで生活する猛者も見かけることはありますが、自分には合わないかなーと感じました。相場感もだいぶ下がってきているようなので、少なくとも「それだけで生計を立てる」という選択をするのはいろいろな意味で不安定なように感じます。

スポットバイトはあくまで病院見学。ビビッと来る定期非常勤へのつなぎと思うくらいでよいのではないでしょうか。

ただ、色々な病院で様々な業務を経験できたのは面白かったです。こんな病院で働きたいな、とか、こういうところは避けておきたいな、など内部事情も結構分かってよかったので、週4勤務にして週1で休みをときどき作りたい方や、人生経験としてスポットバイトをやってみたいなという方はやってみてもよいかもですね!

スポットバイトを探すなら

スポットバイトが探せるサイトを以下にまとめます。

色んなブログで色んなことを言われていますが、スポットに関していえば、たくさんサイトに登録しても被っていることが多いので、登録するのは1つか2つで良いと思います。

民間医局

登録している人が多いイメージの民間医局ですが、スポットバイトも探せます。

サイトの見た目がシンプルすぎて探しにくいこともありますが、その点以外は特に問題なく使えたように思います。

提携している施設が多いためか、求人数が多くて他のサイトに載っていない求人もありました。

豊富な非常勤、スポット勤務情報『民間医局』

Dr.アルなび

サイトが使いやすかったのでよく使っていました。

スポットバイトに行くたびに地味にポイントも溜まっていきAmazonポイントになります。(5000ポイントまで貯めないと使えないので注意です。)

医師のアルバイト情報サイト【Drアルなび】

医師バイトドットコム

常勤は「医師転職ドットコム」が有名ですが、それのバイト版のサイトです。

バイトに特化しているサイトで見やすかったですし、求人も多めです。

【医師バイトドットコム】業界最大級の求人19,500件

まとめ

スポットバイトの概要、メリットとデメリットをふまえて、おちばの感想を述べてみました。

どう働くのが正解かは、人によって異なるので、こんな考え方もあるんだなーという程度に読んでもらえたらと思います。

週4常勤+週1定期非常勤にするか、週1スポットバイトにするか悩んでいる方の参考になれば嬉しいです!

●おすすめの本

・医師バイト・外勤 超実践マニュアル

最初は「タイトルからして怪しい…」と感じていましたが、Amazonの評価が結構高かったので購入してみると、非常に良い書でした。

いざ自分がバイトをしてみる時は、不安を拭うため基本知識や背景情報を入れておくという意味では参考になります。

給料面や勤務時間がどのくらいかという基本情報に加えて、具体的に健診でどのような診察に特に気をつけるか?とか病棟管理では看取りをする機会が多いので看取りをするうえで知っておきたいことなど、地味に役に立つ情報が多いです。

この本が作られた背景も、「医師バイト・外勤の質の向上を目的とし作成した。また、地方勤務、開業などで専門分野以外の診療に携わる際にも最低限の医療の質を保証できるようになるマニュアル本を目指して作った」とありますが、他分野でも勉強になることも多いです。

自分がバイトに行く前に一読しておくと少し安心感があるのでおすすめです。

■おすすめの記事

・週4常勤+定期非常勤(あるいはスポット)を組み合わせる生活はやりたい仕事をやりながら家族との時間やお金をある程度確保する一つの手段です。それが合うか合わないかは人それぞれなので、まずは医師の自分にとって何が幸せで、何を重視したいかを考える時間が大事なように思います。

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この記事を書いた人

アラサーの男性医師。内科専門医/透析専門医/腎臓専門医。
腎臓内科医として市中病院で勤務しつつ、フルタイム妻と一緒に実家遠方子育て中。(育児休業後)
忙し過ぎる若手医師向けに、医師のキャリア・専門医試験/レポート対策・仕事のコツ・医学の勉強などお役立ち情報を発信しています。
医師として頑張りたい、けれど家庭やプライベートも同じくらい大切にしたい!
そんな人の力になれたら嬉しいです。
趣味は音楽、読書、公園巡り。

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