内科専門医を目指すみなさんは、J-OSLERと呼ばれる制度を知っておられると思います。
でも、
「よくわからん・・・」
「時間がかかりそう・・・」
など、不安や不満は多いと思います。
僕も専攻医をスタートした時点では、わからないことだらけでした。
しかし、後回しにしてJ-OSLER留年なんてしようものなら、最悪の場合専門医になれないリスクがあります💦
そこで、僕個人が
「J-OSLERを始める前に知っておきたかった!」
と思う注意点や知っておくべきことをお伝えします。
なるべく効率よく、けれど無難に、J-OSLER乗り切っていきましょ!
★このシリーズでは、J-OSLERをする方に、僕が思う「最低限知っておいたほうが良さそうなこと」と、「それなりに無難に乗り越えるためのコツ」をお伝えします!
★そのため、「完成度の高いレポートづくり」を目指している先生には参考にならないと思いますので、あしからず!笑
今日は、「病歴要約の考察を作る上で役に立った本・医学書」をご紹介します。
考察を作るのに毎回Pubmedで検索してReviewを読むのは現実的に不可能です。
ぶっちゃけると「いかに時間をかけずに、それっぽい英語文献をたくさん盛り込めるか」が鍵になってきます。
今回紹介する本はいずれもエビデンスを豊富に載せている本ばかりなので、英語文献をイチから調べずに引用できるのでサクサクとレポートが進むはずです。
それでは、よろしくお願いします!
J-OSLERで役に立った書籍・医学書6選
いつでも持ち運べる「総合内科病棟マニュアル」
内科医なら必ず持っておきたいマニュアル本。
総合内科マニュアルは、令和の初期研修医なら知らない人はほとんどいないであろう、必携のマニュアル本です。
1冊で全ての内科領域をカバーしているのはもちろん、「GIM」という章で高齢者医療や「食べられない」「漢方の使い方」などマニアックな点まで記載されている、独特かつ使いやすい1冊です。
かなり実用性を重視した本である一方で、論文からの引用も結構多く、J-OSLERで参考文献として書けそうなネタも数多く記載されています。
注意点としては、引用文献の一覧はウェブサイトでしか見ることができないこと。
こちらのページで番号と照らし合わせる必要があります。
(古いほうの緑色バージョンを使っている方は、こちらのページ)
エビデンスの量が多い「内科診療フローチャート」
エビデンスの量が桁違いに多い1冊。「ガイドラインを読むのはめんどう、だけど概要を知っておきたい…」というときに丁度いい。
こちらも内科全般の分野を網羅した1冊。特筆すべきは各疾患の大量のエビデンスを背景に作られたアプローチを、図や表にまとめてわかりやすくしていることです。
それぞれの文章のすぐ横に引用元となった英語文献が書かれているので、引用したい時に使いやすいのが特徴。
この本に載っている疾患の症例を作るのであれば、レポート作成に必要な文献はまず不足しません。
細かい点を言うならば、治療内容についてのエビデンスは毎年のように変わりうるので、治療面で正確な情報を得たいならガイドラインと照らし合わせたほうが良いかもです。
そこまでJ-OSLERに求められているのかは、なんともいえないところですが・・・笑
診断に特化した「内科診断リファレンス」
診断に関するエビデンスに特化した1冊。とりあえず内科医なら、これは持っておいた方がいい。
内科診断リファレンスは、診断に関するエビデンスに重きをおいた特殊な教科書です。身体診察を含め、教科書に載っている「この所見はこの病気っぽい」をすべて数値でエビデンスとして載せています。(成書でいうなら、マクギーのフィジカル診断学みたいなイメージ)
研修医のときのレポートはもちろん、J-OSLERでも診断についてのエビデンスを具体的に引用文献に載せていくことができるので便利です。
分厚い印象とは裏腹に、それぞれの疾患について簡潔にまとめてくれているので、意外と読み進めやすいのもいいです。(分厚いのは、多くのエビデンスをグラフや図とともに丁寧に載せているから)。
刊行されたのは2014年とやや古めな本ですが、診断学についてのエビデンスは治療と比較してそこまで大きく覆ることは少ないので、あまり気にしなくていいと思います。
おまけ①各学会から刊行されている「ガイドライン」
信頼性が高く、引用文献が豊富。少し読みにくいものもあるが、レポート対策に使いやすい。
ガイドラインは、いわば最強のReviewといえます。
そのまま文章を引用して、引用文献元として使うこともできますし、ガイドラインの中の論文を孫引きして使うことで英語論文を探すこともできます。
代表的なガイドライン(消化器、循環器、腎臓、血液、神経、救急医学会、内分泌(PA、甲状腺など))は基本的に無料でネット上で読めるので便利ですよね。
ただ、デメリットとしては、分量が多すぎて全部に目を通すのは難しいことと、呼吸器など一部の診療科では有料 or 学会の会員しか読めない仕様になっていること。
実際に自分で購入するのも悪くありませんが、J-OSLERだけのためにそこまでするのも・・・という場合は、学会員になっている先生にお願いして必要な部分だけガイドラインを見せてもらうとかが良いかもしれません。
呼吸器については、僕はポケット呼吸器診療で代用していました。毎年新しいのが出ていますが、2000円程度と安いのでお財布にも優しいです。
また糖尿病については、ガイドラインを簡略化した「糖尿病診療ガイド」が1000円と破格で売られていること。毎年更新されているので必見です。シンプルでわかりやすいです。こちらも内科医なら毎年買っていいレベル。
他にも、感染症分野なら、感染症プラチナマニュアル一択です。こちらも2000円程度と安いし、毎年のように更新されています。
おまけ②わかりやすいし読みやすい「日本内科学会雑誌」
読みやすいし、引用文献として使いやすい。学会に入っておけば、タダで読める。
ガイドラインに目を通すのは大変なので、求めている疾患について簡潔で、かつ最新のエビデンスを網羅している記事がほしい時に、日本内科学会雑誌は役に立ちます。
こちらもReviewとして扱って引用できますし、英語論文を孫引いていくこともできます。毎月刊行されており、最新といえるエビデンスが必ず載っているので使い勝手が良いですね。
内科学会の会員なら基本的に無料で読めるのもいいですね。1年以上前の巻はネット上(j-stage)で読めるようになっているので、一回ググってみるのもオススメです。
まとめ
レポートをやる上では、総合内科病棟マニュアル、内科診療フローチャート、内科診断リファレンスはかなり便利です。
だいたい今回紹介した書籍を使いつつ、必要に応じてガイドライン+内科学会雑誌を使えば簡単に考察部分は書きすすめることができるはず。
お作法的には、本当は引用文献の原著を読まないといけないですが、リアルワールドでは、どうあがいても時間と体力と精神力が足りないと考えられます。
ぜひ、二次文献をうまく活用してサクサクとレポート作りを終わらせていきましょう。
※2023年3月追記
とはいえ、レポートのためだけに上記の本を買ったり読んだりするのが面倒・・・というめんどくさがりやさんには、AI(perplexity AI)というサイトがおすすめです。
考察にしたいことについて質問すると、引用文献込みで答えてくれます。(Chant GPTより使えます)
めちゃくちゃ便利です。
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